10月1日 晴れ。
幽雪は母の家から午後2時頃、ナルミおばさんと共に夏紀君を見舞う。4時か5時からの手術という話だったが、遅れに遅れた。夏紀君は、痛み止めが切れて来たのか、心身ともに痺れを切らした状態になって、7時にようやく手術室に入る。
それを見届け、幽雪は帰山。
観音はTシャツを一人で脱げるようになっていた。パジャマの上着も一人で着られる。

トトロの絵10月2日 曇り
昨夜、手術は9時に終わり、兄が病院に泊まったそうだ。
薫は朝から極端な下痢。夜も何度もトイレに駆け込んでいた。昨夜から気持ち悪そうだった。昨夜、一度吐いていた。
幽雪は昨夜から鼻水、くしゃみが出始め、今日は段々ひどくなる。喉も少し痛くなる。観音も今日は段々鼻声になって来て、少々鼻水、くしゃみが出始めている。
観音はお絵かきボードにトトロの絵を描いていた。初めてきちんとしたそれらしい絵を描いた。突然描けるようになったので、驚く。
久しく出して居なかった持ち物を一人で引っ張り出して真剣に点検している。

10月3日 晴れ
薫は昨夜遅くまで下痢が続いていた。
幽雪は昨夜から今朝にかけて上顎の奥の方が非常に痛くなる。少し前にもこのような症状があったことを思い出す。観音は非常に元気がよい。着物を着ると言って今日はずっとそれを着ていた。
幽雪は昼にぬる風呂に入ってみる。喉の痛みは和らいだか。夕方から非常にだるくなって、寝る。夜まで。
観音は物をどんどん引っ張り出している。

10月4日 晴れ
薫は回復して来たようだ。幽雪もかなり回復する。観音は元気一杯。
閑山さんの誕生日祝いを送るために薫と観音は色々と準備していた。昨日、MDに観音の歌やメッセージを録音していた。
フランスの方が関西空港で身動きがつかなくなって通りすがりの人が助けてくれて電話して来られる。一週間後に少林窟道場に来ることになっていた方だった。

10月5日 曇り
朝方、観音は寝苦しそうにゴロゴロしていた。どうしたのかと思って、聞いてみるとお腹が痛いと言う。薫が様子を見てみると発熱していた。
下に降りる時、一緒に降りたいと言うので連れて降りて布団に寝かせる。薫が愉気をする。その内、アイスクリームをいくらか食べたようだ。そして、しばらくして吐く。
それから布団に寝ることを嫌がり、食堂の座布団の上で寝続ける。幽雪が抱っこしたり、薫が愉気したりする。時折、かなりの発熱有り。昼食前にはかなり発熱していた。
昼食はそこそこ食べる。
午後、三好さんご一家がお見えになるも観音は眠ったまま。
夕方、発熱。
母に電話してみると、夏紀君は昨日くらいから車椅子に乗って元気にしているそうだ。
薫は夜、フランスの方を駅で迎えて、一旦海蔵寺にお連れした後で、少林窟道場へ。
観音は、眠ってしまう。

10月6日 雨後曇り。かなり涼しくなる。夕方からは冷ややかな感じがする。
観音はほぼ元気になる。幽雪は咳が激しい。
夕方、お華の入れ替えをする。観音も庭に出て一人で遊ぶ。金木犀の枝を取って来て花瓶に生けてみる。薫はシソの実を取って来て、夕食はシソの実ご飯をする。
薫は夕方から急激に体調が悪くなる。腰の辺りが痛いらしい。本堂で背骨の両脇を押さえる。少し良くはなったらしいが、夜にかけてどんどん容態が悪くなって、足湯して早々に寝る。
このところ、観音は何か意見を求められると「違うと思うよ」と言って、こじつけのように、屁理屈のように、反対の意見を言うことが多い。一度聞いたことについて再度聞くと「何々って言ったでしょ!」としばしば言う。
昨日、ずっと寝ていた時、寝ながら薫にああだこうだと指示をしていた。今日もそうだった。細かいことにすごく良く気が付き、そのことを誇示したいのか、知ってもらいたいのか。

プール10月7日 曇り
薫の具合は少し良くなって来たが、咳き込むようにもなって来た。
観音は朝食後、プールをすると言い出す。本当にやるのかどうか、怪しんでいたが、本気らしく、昼前に水着に着替え、庭にプールを出して、水道の水を入れて水遊びをする。さすがに寒くて立ったまま遊んでいた。しばらく遊んでから風呂場に行き、ベビーバスでぬる風呂に入る。少し暖まってから出る。
夕方、幽雪はしばらく眠ってしまう。その間、観音は薫と夕食の準備や裁縫をしていたようだ。夕食はシチュー。観音も喜んで結構食べる。
幽雪の兄からメール有り。夏紀君の生検の結果は悪性との仮連絡があったそうだ。

10月8日 快晴。
今日は、みんなで竹原へ向かう。幽雪の免許交付のため。午前中に1時間の一般講習を受け、その後、新免許証を受け取る。
それから買い物。観音は少し風に当たったのが、いけなかったのか、ぐったりして元気がない。あまり長くいないで帰る。
観音も眠かったのだろうと思うが、帰ってから、急に怒り出す。外へ遊びに行こうとしたが、玄関から折り紙を取ってほしい、と言う。幽雪がどれか分からなくてウロウロしていると、怒り出してしまった。あきれて幽雪は二階へ上がって布団を干して寝てしまう。2時間ほど眠った。幽雪の右耳に瞬間的な激痛有り。
薫は観音のパジャマを完成させる。赤のチェックにキリンのアップリケ。
夕方、十楽さんと吉信さんがお見えになる。夕食をはさんで10時半頃帰られる。吉信さんのお友達が迎えに来ておられた。
夜、観音と台所でお茶を飲んでいて、幽雪の湯飲みが転んで急須の取っ手にチップして飲み口が少し欠ける。その欠片がどこかに飛んだようで、探し回る。半分だけは観音の席の床で発見。後はどうしても、見つからない。

10月9日 快晴。
観音はしばらく一人で外で遊んでいた。汗をかいて帰って来て、その足で風呂場に行きベビーバスでぬる風呂をしたようだ。やや寒かったらしい。昼食の後、床に寝転んで、そのまま静かに眠ってしまった。午後3時頃から2時間ほど。
Miruneその間に幽雪は少林窟道場へ届け物。方丈には出会えなかった。その足で三原へ。デオデオは休みだったのでベスト電器に行く。マイクロソフトが出しているセキュリティ関連修正プログラムのCDをもらう為。
帰ってみると観音は目を覚ましていて、薫とホットケーキを作っていた。
薫と観音は、ミィハンへの誕生日プレゼントの発送準備をしていた。観音は初めてカードにMiruneというサインを書いた。もっとも、薫が一文づつ書いて、まね書きしたのだそうだが、何とか判読できる。

10月10日 曇り。
朝方、幽雪の兄からのメールでやはり悪性との診断で、明石の成人病センターへ転院する、とのこと。何が出来るか、真剣な選択を迫られている。
朝食後、観音は保育園へ行く、と張り切っている。もうどうでも行くという堅い決意が見えるので、幽雪が付いて行くことにする。保育園では運動会の練習をしていた。それをじっと見ていた観音は、自分もやりたい、と言って運動場に入って行った。しかし、いきなり加えてもらえる訳もなく、近くでブランコに乗ったり、滑り台に上がったりして見ていた。給食の時間になって子供たちが中に入ってしまうと観音は砂遊びの道具を出して来て、一人で砂遊びをしていた。ひとしきり砂遊びをした後、ひとしきりブランコをし、そしてサッカーボール柄のジャングルジムをグルグル渡り歩いてから、浄居寺さまの猫を少し撫でて帰る。
夕方近くなってから、薫と観音は用事を済ませ、河野先生宅を訪問したらしい。何とか出会えたようだ。
観音は靴が親指の側面に当たっていて、親指が痛くて額が冷たくなり冷や汗をかいていたらしい。出先でそれに気が付いた薫は、新しい靴を購入。観音は、それにすぐ履き替えたそうだ。
夕方、兄にメールを書く。夜、返事が帰って来た。悪性腫瘍には間違いないが、型を確定出来なかったことで成人病センターが受け入れを拒否したのだそうだ。原発部位、腫瘍の型を確定するための検査をしてから成人病センターで治療するという方針らしい。検査に2週間くらいかかるそうだ。

10月11日 曇り。夜一時雨。
朝、観音は、階段を降りる時、最後の段を踏み外して転ぶ。膝をぶつけた様子。
観音は食欲無し。昼はほとんど食べず、夕方、アイスクリームを食べる。夜も僅かに食べただけ。
方丈は東京参禅会。
幽雪が、柱にちょっと触れたら右手の中指の爪の際にトゲが刺さる。
兄が福田ー安保理論のコピーでも送ってほしい、とメールして来ていたので、ファックスしようかと思って一部分コピーする。しかし、夜、それをOCRにかけてテキストファイルにして、メールで送る。
佐和子先生にも夏紀君の状況を説明してアドバイスをお願いする。

10月12日 曇り時々晴れ。夜一時小雨。
観音は未明に一度目を覚ましてしまったら、しばらく寝付けなかったようだ。
午前中、佐和子先生からお電話有り。明石に転院したら友達になりに行こうかな、と言って下さる。
それを踏まえて前田居士にファックスを送る。すぐにお電話があり、長時間お話する。
明星保育園の運動会。薫と観音は午後から出かけて見て来る。

10月13日 曇り。やや肌寒い。
午後、みんなで庭の掃除。幽雪は草取り、薫はバベノキを長鎌で剪定していた。観音は草を取ったり、切った枝を集めたり。
そうしている内に、方丈がバイクでお見えになる。観音にオーストラリア土産をお持ち下さる。縫いぐるみ。右目が白内障になって来たようだ、と話しておられた。
しばらくお茶にしていると、お隣の大瀬さんがお見えになる。ご一緒にお茶にする。
更にそうしている内に、河野先生ご一家がお見えになる。観音は夏海ちゃん、雪帆ちゃんと遊んでもらう。水月ちゃんはヨチヨチと歩いておられた。お父さんは下の駐車場で待っておられた。お聞きして驚く。

10月14日 曇り後雨。かなり肌寒い。
チャンチャンコが必要になる。幽雪、昨日くらいから肛門が痛くなり、今日は更に痛みがひどくなる。そして、今日は下痢。量は多くないが水のような便が出る。
午後、雨の中、観音は散歩に出たいと言い出したので、カッパを着せて薫が連れて出る。庭で穴を掘って雨水を貯めて池を作っていた。冷えてしまったからと、そのまま入浴。

10月15日 曇り。
幽雪は、下痢は続いているがあまり出ない。肛門の痛みも続いている。午睡を取る。
夕方、薫は電子レンジをかけたサトイモを手で剥いていて、何かトゲのようなものが爪の際に刺さったようだ。非常に痛がっていた。観音はサトイモを非常に気に入っていて、夕食は、ほとんどそれだけ食べていた。

10月16日 晴れ。
午前中に墓地所と庭掃除。
昨夜、兄から夏紀君の容態が非常に悪いとのメールが入ったので、急遽、幽雪は見舞いに行くことにする。
2時過ぎに忠海発の電車に乗る。忠海駅で浄居寺の奥様と一緒になる。4時前に姫路着。在来線で英賀保まで行き、そこからタクシー。4時半には病院着けた。
4人部屋。入って見ると彼は眠っていた。しばらく、待っていると目を覚ます。しっかりした口調で、元気そうに見えた。しかし、下半身はしびれて動かなくなっているそうだ。痛みはそれほどではない、とのこと。右手も力が入らなくなって来ていて、握りこぶしを握ると小指の筋が痛むそうだ。この3日くらいは寝たきりらしい。寝苦しそうで、ベッドの具合が悪いと盛んに言っていた。導尿をしていて、2リットルくらい出ていた。
あまり食べられないようだが、出されている食事を見ると、高カロリー食と言うパックの飲み物みたいな物、高たんぱくと言うプリンみたいな物、鉄分が多いというゼリーみたいな物が夕食だった。こんなもので食欲が出る訳が無い。何か食べたい物があるか、と聞いたら、マツタケ、焼き鳥、チーズ焼きなどを挙げていた。沢山は食べられないが、うまい物は食べたいらしい。飲み物はペットボトルのお茶の類を2リットル分くらい脇に置いていた。甘い物が無いので買って来てほしいと言うので、ペットボトルのミルクティやポカリスェット等を売店で買って来る。
主治医に面会を求めると、看護婦は叔父ということで難色を示したが、医者は会ってくれた。兄には一応連絡を入れて了解を取る。病室に来られて、夏紀君の側で話をするものだから、あまり突っ込んだことも聞けない感じだった。腰の腫瘍のために下半身の神経が圧迫されているのだろう、とのこと。排尿障害も出ているから、痛み止めの副作用ではないとのことだ。胸部、腹部のCTを撮り、今専門家に見てもらっているそうだ。今日はガリウムシンチを撮ったのだそうだ。
そんな話を夏紀君は聞きながら、「そんなんじゃ、いつ退院出来るんですか?」と聞いていた。分からないな、と医者が言うと「11月には退院したいんだけどな」と言う。どうしてか、と聞くと「文化祭があるんだ。焼き鳥を食べに行くんだ」とのこと。
6時過ぎにお暇する。バスで姫路駅まで出る。7時前に姫路着。地下街で夕食を食べて、7時半頃の新幹線に乗る。岡山で乗り換えて9時半頃忠海着。薫と観音が駅で迎えてくれる。

10月17日 快晴。
朝、浅野医院へ人間ドックの診察を受けに行く。エコーではやはり肝腎コントラストが異常とのこと。胃カメラを受ける。院内は大変忙しそうだった。12時帰山。
午前中にロサンゼルスから墓参に来られると言うので、方丈が飛んで来て下さる。今日の東京行きを明日に延期してくださったそうだ。
午後、幽雪の母から電話有り。夏紀くんの病院へ行きがけに駅地下街でマツタケの焼いたものを探したが、生しかなく、一本買って、明日焼いて持って行ってあげるつもりとのこと。今日はサケの握り寿司の5個入りを買って行ったら、パクパク4個食べたそうだ。母もとてもうれしそうにしていた。病院へ食べ物を持ち込むことを遠慮していたらしい。

10月18日 晴れ時々曇り。朝方の室温17度。
薫は未明から起き出して、手紙を書いていたようだ。夏紀君にゲーム感覚で病気と闘うイメージを持たせようとするものだった。兄にメールで了解を求めたようだが、兄からはプラシーボ効果は微々たるものだし、夏紀君に不安を持たせるだけになる危険が大きいので、手紙ではなく、面会して指導してやってくれ、とのこと。薫は諦めたようだ。
幽雪の母から電話有り。今日もサケの握り寿司を4個食べ、焼いたマツタケをパクッと食べてしまったそうだ。明日はヒレカツを持って行くつもりだとのこと。
兄からのメールで、3時頃には発熱していたそうだ。

10月19日 晴れ時々曇り。
幽雪、本堂の掃除機かけ。その前に二階へ上がる。観音も付いて来て、そのまま残り、幽雪が掃除機をかけている間、ずっと二階で絵本を一人で見ていた。
薫は先日墓参りに来られた方から電話があり、金色のトンボのブローチを庭に落としたのではないか、とのことだったが、見当たらないからと、上着を脱がれた辺りの笹薮を刈ったりしてずっと、探し回っていた。
あまり長く観音が一人でいるので、やや心配になって二階へ様子を見に行った。沢山の本を引っ張り出して見ていた。満足したのか、集中力が途切れたのか、そこで幽雪と一緒に降りて庭へ出る。幽雪もお墓の方へ落とし物を探しに行く。観音も付いて来る。お墓のあちこちを探検して回り、戻ると庭弄りをする。更にプールで遊ぶと言い出し、水着になって水遊び。かなり寒かったらしく、水から上がって大手の屋根で甲羅干しとなる。
観音は、3時半頃から、2時間ほど午睡。目が覚めた時、幽雪は墓経に行っており、薫は二階で衣類の整理をしていた。観音はオシッコを我慢しながら、必死で本堂の方などへ走り回って探していたようだ。もうカンカンに怒っていて、薫にも幽雪にも泣き叫んで抗議した。

10月20日 晴れ後曇り。
十楽さんが少林窟参禅のため海蔵寺の駐車場に車を置いて行かれる。
夕方、薫と観音は郵便局、スーパーへ車で行く。郵便局から公園を挟んだ反対側のスーパーへ行く時、観音は一人で公園を横切って、歩いて行ったらしい。公園の出口で会おうと約束したらしいのだが、うまく出会えず、薫が公園内を探し回っている間に観音はスーパーの中を探し回った挙句、道路で薫の車を見つけてその後ろでうずくまって泣いていたそうだ。行き先が分かっていたので、つい先行してしまったようだ。が、この車に間違い無いと判断しそこで、じっと待つ事にした点は、薫も認めてやっていた。
夜、母からの電話と兄からのメールで、夏紀君は明日、明石の成人病センターへ転院することに決まったとのこと。やはりユーイング肉腫に近いものなのだそうだ。

10月21日 朝方雨。後曇り。
昨夜寝ている間から観音は手のひらをしきりに掻いていたそうだ。今日の午後になってまたしきりに掻いていて、見ると右手中指には水泡が出来ていた。両手のひらが痒いらしい。
昼過ぎに佐和子先生お見え下さる。最初、夏紀君の話をしていたら、観音が先生を急かせた。そして、待ち切れないように自分から待っていた。きちんとして頂く。
方丈も忙しい合間を縫ってお見えになる。
夕方、観音は眠そうだったが、薫と一緒にリュック作りを喜んでする。ロケットなどの絵柄のリュックが出来る。
観音は、薫と一緒に居たがる。夕食は薫の膝に入って食べる。薫が言うには、夏紀君の方へテンションが行っているので、観音は自分の方へ気を引きたがって、付いて回ったり、ふざけて頭をぶつけそうになったりしているのではないか、とのこと。

10月22日 快晴。
ぞうさん薫と観音は昼頃から動物園へ行く。観音が誕生日にしか水族館に連れて行ってもらえない、と言っているし、しっかり注意が集まっていないと薫が心配して動物園に行くことにしたようだ。
幽雪は参道脇のカイズカの剪定。道に張り出している部分と上に伸び過ぎている部分を切った。
夕方、道育さんお見えになる。お土産のチョコレートをお持ち下さった。
兄からメール有り。心臓近くの静脈にカテーテルを入れて抗がん剤の注入をするそうだ。明日から始まるらしい。治療期間は3ヶ月。それでも治らなければ、骨髄まで殺してしまうほどの抗がん剤大量投与をして骨髄移植をするのだそうだ。治癒率は1割とのこと。何だか玉砕覚悟の総力戦という感じ。
夕方、夢前に電話する。母は居た。金曜日まで転出の手続き等をして土曜日に兄が迎えに来てくれ、神戸の兄の家に移るらしい。そこから病院まで20分くらいだそうだ。


10月23日 曇り時々晴れ。やや肌寒い。
昼前、方丈へ郵便物等の届け物。
午後、勝運寺さまの水子供養のお手伝い。
前田さんにファックスを送る。
夕方、郵便局へ小包を出しに行く。すれ違いに十楽先生お見えになる。ケーキをお持ち下さっていた。
夜、前田さんからお電話有り。「1割」の意味内容を詳細に確認すべきこと、セカンドオピニオンを求めること、死ぬかも知れないとなった時の本人の希望は今の希望とは違うかも知れないこと、完全な告知をすれば地獄の落ち込みは免れないこと、今日のファックスを幽雪が提唱すべきこと。

10月24日 晴れ。朝晩はかなり冷え込む。
幽雪、朝から竹原の体育館へ行って無想会書道展の会場準備のお手伝い。午後まで。
帰ってみると、観音は一人でダンボールの家の飾りつけをしながら遊んでいた。薫は、仕事をしていた。
幽雪の留守中に、母から電話があったそうだ。夏紀君は心臓、腎臓が弱っていて、血液も薄いので一週間点滴をすることになり、抗がん剤注入は来週からということになったらしい。母はナルミおばさんとも話して、看病すると言ってもそれほど長期間ではないかもしれないから、転出届を出したりはしないで時々、夢前に帰って来るようにするとのこと。今日、ナルミおばさんが神戸まで送ってくれるそうだ。
ノートン・インターネットセキュリティ2004が届き、インストールする。
夕方、薫と観音は大場さんへゴミステーションの掃除当番表を持って行ったついでに浄居寺さま、保育園で遊んで来たようだ。保育園で、乱暴なおねえちゃんがいたらしい。実は、観音の下駄が気になっていたのか?どう見ても西洋人なのだが、忠海弁で、「これ、うるさいなぁ〜」と下駄を蹴たり、取って遊具を叩いたりしていたそうだ。

観音10月25日 快晴。日中は暑い。
昼前に前田さんからお電話有り。患者さんで内科医の方が来られたので夏紀君の話をすると色々お話下さり、その内容を伝えて下さった。「1割」についてはインターネットで調べ上げた方が良い、抗がん剤の注入が始まっても最初の頃であればまだ外に出ることが可能かも知れない等。
昼から観音と墓地所へ散歩に行く。どんぐりを拾って歩く。イノシシがまたあちこち掘り返していた。観音は暑くなってシャツとパンツだけになって歩き回る。庭に帰っておやつにする。
3時前、幽雪は浅野医院へ人間ドックの結果をもらいに行く。診察終了間際。特に異常無し。
幽雪の母から自作の観音の振袖が届いていた。急遽、着物を着てぼっくりを履いて写真を写す。今日、撮影した写真を一部印刷してみる。

10月26日 晴れ。
起立 昨夜、薫は未明に起き出して読書していたようだ。頭頂にボワッとした感触があり、難しい本を読みたくなったのだそうだ。明け方、良い愉気が出そうだったので観音の右足の親指に愉気したそうだ。バキッと鳴って観音は足をちょっと動かして、更に足首を愉気してもらいたがっているようだったから足首にも愉気したとのこと。ここ数日、寝る前に泣いていたのは、先日大手の屋根から落ちかけて右足の親指をひねったことが原因だったようだ。
今朝、観音はオムツを濡らしていなかった。しばらく朝のオシッコも出なかった。水分の摂取量が少ないのではないか、と心配になる。最近は水もお茶もあまり飲まない。ミルクだけ。
午前中に薫と観音は準備をして夏紀君のお見舞いに出発。忠海発の電車がなかったので、幽雪が三原まで送って行く。12時過ぎの新幹線に乗る。2時半頃、西明石に着いたようだ。
幽雪は、午後、ドラム缶の灰を処分し、カイズカの剪定をした枝を燃やす。夕方、竹原へ行き、無想会書道展の撤収を手伝う。てんじんやまで支払いをする。
6時半過ぎに三原着。幽雪が三原まで迎えに行く。
夏紀君の様子は、手足がむくんでいて、やや黄疸が出ているようだったそうだ。腸閉塞のため、吐くから水を飲ませてもらえず、時々小さな氷をなめさせてもらうだけだったそうだ。飲ませてもらえないことを夏紀君はとても悲しがっていたとのこと。少しだけなら問題ないはずだと母にアドバイスして来たそうだ。
観音は、先日来、入浴前に自分で服を全部脱げるようになっている。

10月27日 快晴。
イノシシが庭を荒らしていた。庭石の周りの竜のヒゲを根こそぎにしていた。観音と植え直す。
午後、十楽さんと吉信さんが少林窟から下山して立ち寄られる。十楽さんは風邪を引かれていたようだが、なかなか充実した参禅になったようだ。
夕方、カイズカの残りの枝を全部燃やした。観音も一生懸命手伝ってくれる。そして、観音は花火をすることを思いついて、ひとしきり花火をする。

10月28日 晴れ時々曇り。夕方、強風。台風の影響らしい。
午後1時過ぎの電車で幽雪、夏紀君の見舞いに行く。3時過ぎに西明石着。3時半頃、成人病センターに入る。夏紀君の様子は前回見た時と大差無い感じ。飲み物は自由に飲めるようになったようだ。何がほしい、と尋ねるともっと美味い飲み物が多種多様にほしい、と言うので、売店で紅茶やお茶をゴソッと買って来る。その中にりんごジュースの類があり、それを飲んで見たいと言うので、飲ませる。200ccくらい飲んだ。
右手の小指の辺りを痛がっていた。胸から下は麻痺していて痛みもないのだそうだ。
たまたま都合良く担当医の方にお目にかかりお話を伺うことが出来た。脊椎の各所に転移が見られるそうだ。細菌感染の原因は分からないまま治りかけている。腸閉塞は転院して来た時からで、原因不明だが、大腸の一部に便が固まっているので、今夜下剤を入れてみるそうだ。今は全身状態の改善に全力を挙げていて、抗がん剤治療に入れない状態。場合によっては抗がん剤治療を諦めて緩和治療、ホスピスケアに切り替えるかもしれない、とのこと。
5時過ぎに病院を出る。5時40分の新幹線に乗り、8時半頃、忠海着。

10月29日 晴れ。
昨日の強風で洗濯場の屋根の角一枚が、また飛んでしまったので、午前中、修復。
観音と破れた障子の張替えのため、4枚の障子を水洗いする。
その後、干したイリコをミルサーで粉砕する。最後に観音もやってみる。うまくやれた。

10月30日 晴れ。
朝、ゴミ出しに行った時、浄居寺の奥様に会う。駐車場脇の柿の木がたわわに実っているが、保育園の子供たちが取っても良いのだろうか、と気にしていた、とのこと。近所の人たちがおいしいことを知っていて、取ったらおすそ分けするようにしているんだ、と言ったら、それならいけませんね、とのことだった。薫が方丈に相談すると、子供たちに取ってもらったら良いだろう、とのことで、方丈から連絡を入れて頂く。
障子貼り。台所の入り口の障子は骨が壊れていて修理する。そのため今日はそれには貼れなかった。
観音は、座布団につまづいて食卓の縁で右の頬を打つ。あざになっていた。
夕方、観音と一緒に郵便局へ行き、その帰りにエデンの海パーキングに寄る。観音は非常に喜んで、土手を駆け上がったり駆け下りたり、乱れ積みの石を渡って歩いたり、柵の上を歩いたりした。しかし、柵に馬乗りになってそのまま左の腰から土の上に落ちる。
一昨日くらいから薫は少林窟法語の入力を始めている。大変そうなので幽雪も少し手伝うことになる。
午後、ナルミおばさんから状況のご連絡有り。昨日くらいから夏紀君に下血があるのだそうだ。夕方、母から電話があり、出血が激しく輸血が間に合わないので、緊急手術することになり、手術室に入ったとのことだった。午後、兄からも夏紀君が危険な状態とのメールが入っていた。夜、更新されたHPによると持ち直したようだ。動脈からの出血ではなかったようだ。
幽雪、この一月くらい左肘がずっと痛い。少しずつ痛みが強くなっているようにも感じる。

10月31日 晴れ。
薫と観音は横村先生を訪問。行きは昼過ぎに竹原からかぐや姫号に乗り、広島に着いたら路面電車。帰りは山陽本線で、夕方、本郷まで帰って来る。
行きは時間がぎりぎりになってしまい、間に合わなくなってしまう。しばらくかぐや姫号を追いかけて幾つか先のバス停でつかまえる。
路面電車待ちの間に、観音はつまづいて転んだらしく、顎を打ったようだ。