クラフト工房 翁庵


〒731-4229
広島県安芸郡熊野町平谷84

電話:(082)855-0509

広電バス熊野営業所ヨリ1.2Km 串掛林道上ル

広電バスの営業所から大きな道を挟んだところに、何処から入れば良いかと思案するような位置に串掛林道の入り口がある。
この道を登っていくと、山へ入って行くのだが、何時しかポロポロと建物が見え始め、大きく曲がるカーブのところに 翁庵がある。
中に入ると、煙突付きのだるまストーブが鎮座する工房 兼 お住まいは、切り絵・額縁、茶道具・木彫工芸・竹細工・金銀細工など 具志さんが手がける ありとあらゆるクラフトが所狭しと積みあがっている。
外にある丸太をはじめ、屋内のあちこちに床から天井まで乾燥させてある木々、天井裏も竹や木でいっぱい。
工具・工作機械もどの部屋へ行ってもいっぱいで、何時も、あらゆる作業が出来るように成っている。

老犬とフジ猫も同居して、愛嬌を振りまいている。


具志幸義氏

サイパン生まれ、沖縄育ちの建築士。ダム建築など(広島県ではぬくいダムを手がけられた)に携わる合間で、米軍基地にて宝石類の加工技術の講師を努めるなど為さり、退職後、暑過ぎない広島を選んで、大好きな技を活かして クラフト工房 『翁庵』 を立ち上げられた。
誠実な人柄と、持ち前の器用さで、一点ものの注文から、イベント用の規格品、作家のご用達まで楽しみながら作っておられる。材料も、大事に大事に手元でねかして作る。
材料へのこだわりと、誠実なお人柄で、故・澤田満明翁も『箱屋さん』と称して、行き来があった。

70歳を迎える今、後を引き継ぐ人が無い事が悩みの種。「持っている技術と一緒に、集めた材料、道具、機械の全てを譲れる方々(個人でもグループでも)が欲しい」と熱く語られる。

しかし、技術を引き継ぐと言うのは、並大抵じゃないでしょ?とお尋ねしたところ、「道具や機械の扱いなら3ヶ月も一緒にやれば習得できますよ。私の遣ってる事そっくりそのままでも5年あったら充分!」とおっしゃった。
後5年 私も遣りたいと思っているから、一緒に遣ってくれたら、その方の欲しい技術は全部あげます。始めて半年も経ったら、その方の作りたいものが作れるようになるし、それで良いんです。私の真似をする必要なんて全然無い。物づくりは、本人しだい!それぞれに作れば良い!とおっしゃる。

ただ、大手を振って勧められないのは、今は、安価な物がいくらでも輸入されている。良い物を考案して作っていても、気前良く数個買って行かれた方があると思うと、1ヶ月後には、そっくりな輸入品が入り、それが3ヶ月で似たような物が100均にまで並ぶ時代です。
いくら作っても、機械を揃え、道具を集め、材料を買って、儲けを出そうなんて無理だからです。
しかも、材料は、乾かして良い状態にしようと思うと時間が掛かる。
だから、私は、本物を分かってくれる人を相手に、頼まれて作ると言った状態なのだと語られた。

受け継ぐ方(或いはグループ)が現れたら、直ぐに譲っても構わないともおっしゃり、「一緒に5年させて貰ったらもうそれで良い!」場所だって、ここは賃貸だから、引き継ぐ人が自分(自分達)のところに全部引越しても構わないとおっしゃる。具志さんの方が、そこへ行き5年一緒に作るから良いのだと、笑顔。