10月1日 晴れ。
郵便物が来たのを幽雪と観音で取りに出る。その中の一通を持って観音が「おじ上、帰って来た。」と佇んでいる。??それは一ヶ月ほど前に、観音がおじ上に出した手紙だった。自分がメッセージを書き、封をして、切手を貼り、外にもシールを貼って大サービスで作って薫と出しに行った手紙。返って来たのは、かなりのショックだったようだ。
薫に見せると、早速 貼ってあるシールなどを剥がし、解体。新しい封筒を持って来て宛名書きをした。作業を覗き込んでいた観音に、中からだした手紙を 「おじ上に これを送ったけどアメリカまで行って返って来ちゃった。もう一回送るからね。今度は届きますようにって書いたら。」 とペンと共に渡す。観音も、何やら書いているが、以前の丸い柄とは違い角張った短い物を小刻みに書き込む。それを見て、薫が「帰って来たショックが現れてる。」と見て取った。書き終えると、封をして切手を貼って、剥がしたシールを糊で再び新しい封筒に貼って行く。余程ショックだったようで、作業中も終始「おじ上、返って来た。おじ上、手紙、返って来た」と言っていた。
返却されて来た理由は、薫が郵便番号を書き間違えたからだったとの事。以下の住所は合っているのに、郵便番号先に運んで、そこにはそんな住所は存在しないと返却して来ていたと言う。日本なら、例え東京の郵便番号でも tadanoumi, takehara, HR と成っていたらここへ配達してくれるだろうが・・・。
幽雪一仕事して、ちょっとお茶を飲みに食卓のところへ座ったら、丁度 薫が観音に、汚れて取り外した座布団カバーを洗濯籠に入れるように委託しているところだった。元々、汚れたと言い出したのが観音で、自ら座布団カバーを取り替える事を望んでいたと言う事で、本人は洗濯意欲満々。幽雪がお茶を一杯程飲んだのを知ってか知らずか、薫は次の活動を始めながら観音に「お風呂場のバケツに浸け置きしてるのの水を空けて、一緒に入れて、猫ポンプでジャーってバケツにお水を入れて置いても良いわよ!」と言う。観音は勿論、その気充分!しかし、難関だらけ 必然的に幽雪が救援に行く。しかし、幽雪そのまま観音の洗濯?水遊びに付き合わされてしまう。薫が 「お昼ご飯が出来るわよ。」と風呂場まで、呼びに来てもまだ終わりそうに無い。
昼食後、観音は薫と過ごしていた。机に向かって何かやっていたと思ったが、次に行くといなかった。洗濯場か。
観音がとても気にしていたので、幽雪 手が空いたところで「観音、おじ上の手紙を出しに郵便局へ行くかい?」と声を掛けて見た。観音は早速、玄関へ行ってくつを履こうとする。郵便局の直ぐ向かいが児童公園。郵便局から公園へと移動して、遊具で遊び公園の草取りもする。子供連れの人達が入れ替わり、入れ替わり、一緒に遊ぶと言う事は無いが、やはり観音の目は子供達を追いかけている。
公園が効いたか、午睡。観音は、一度起きて用足しをすると 食事も風呂も「嫌みたい。」と言い、薫に抱かれて又寝てしまう。観音、今日は、とうとう 夕食も お風呂も無しだ。

10月2日 快晴。
観音は、結局 そのまま今朝までまた眠り続ける。
今日は、薫とずっと一緒に行動する。昼には郵便局、少林窟へ行き、夕方は乳母車に縫いぐるみを乗せて歩いて少林窟へ行く。帰りは疲れて途中で乳母車に乗って縫いぐるみと一緒に眠って帰る。目が覚めてから、更に 母の買い物に同行。
飛躍的に言語表現が豊かになる。滑らかな話し言葉になっている。
観音、昨日はほとんど断食状態だった為か、今日は 身になりそうなものも しっかり食べていた。下の畑でもらって来たシシトウを喜んで食べる。お腹一杯食べて、苦しいのか?良く分からないが、食後に暴走状態。その後、ユカリをなめて、口の周りに一杯付けていた。

竹箒を持って、墓地所へ上がっていく薫と観音10月3日 晴れ。
朝方、鼻声になっていた。薫もそんな感じだったようだ。昨夜のユカリの影響なのか。
昼間、観音は薫とお墓へほうきを担いで行く。どんぐりを拾って来ていた。
入浴の時、観音は自分で頭を洗う。薫が手伝うのを嫌がって、自力で頑張る。

10月4日 晴れ。
少林窟道場のメンバーと一緒に、道育師の帰化祝いの会食。観音も方丈のところへおかずをもらいに行ったり、皆さんに持参のおかきを配って回ったりした。
会食から帰って、観音は薫と一緒にシャボン玉遊び。観音の肺活量も増えて来たのだろう、長く息を吹き出す事を学び始めたようだ。細かいシャボン玉がたくさん出来るようになったそうだ。

10月5日 快晴。日中は真夏のような暑さ。
おばあ様と花を植える観音昼過ぎ、幽雪の母 上山。
今日から電車の時刻表が変わっており、忠海駅まで観音と迎えに行くもすれ違ってしまう。ともあれ、無事何かをで観察しているおばあ様と観音到着。
以前、時刻表を折り込んで配ってくれていた、無料配布の週間タウン誌が廃業したらしく、ローカルなニュースからも縁遠く成ってしまった。結果、時刻表が変わる日も知らないままだった。お客様にご案内していた大きい時刻表も、入手出来なくなり 大変不便な状況。今のところ、手立て無し!

おばあ様と散歩して回る観音10月6日 曇り後雨。
河野先生が立ち寄られ、お嬢様方のお古の服を観音にプレゼントして下さる。
昼に母、観音と浄居寺さままで散歩に行く。帰りに保育園の運動場で遊ぶ。はしご段で上るような滑り台に初めて自力で上がり、今までになくスーッと滑り降りる。ブランコは大きく揺らしてもうれしそうに乗っていた。
夕方、観音は 自分でズボン、パンツを脱いでオマルへ。おばあ様に良いところを見せたいようだ。

10月7日 晴れ。風はやや冷たい。
佐和子先生お見え下さる。母も含めて全員診て頂く。
観音は最初嫌がって逃げるように庭でしばらく遊ぶ。風が吹いて来て素直に中に入る。そして薫に抱っこされて診て頂いた。今日は、先生のお顔を見ても、泣かなかったね。
午後、母帰る。幽雪が三原駅まで送って行く。
帰って見ると観音の顔は丸くふっくらしていた。先生のお蔭か。
観音はなかなか昼寝しようとせず、「バスに乗りたいの。」「青いバスに乗りたいの。」「バスに乗って東京へ行くの。」「バスと電車に乗って本屋さんへ行くの。」等と駄々をこね続ける。明日、幽雪と一緒にバスと電車で竹原の本屋さんへ行く約束をする。抱っこしていると夕方6時半頃ようやく眠る。
8時前に目を覚ますや否や「バスに乗るの。」と半べそ状態。遅い 夕食は、おしゃべりを続けながら食べる。
ライオンの絵がデザインされている布で薫が小学生の頃に作ったと言う鍋掴みが現役で存在する。それを観音は気に入っているようだ。幽雪が鉄瓶でお湯を取った後、その鍋掴みを欲しがるので、「中の方は熱いよ」と注意して渡す。するとしばらくして観音は泣き出してしまった。大好きなライオンが触れないほど熱くなっていることが悲しかったらしい。

10月8日 曇り。もう肌寒い感じ。夕方は風が冷たい。
お薬師講のおばあちゃんたちは誰もお見えにならず。お墓参りの方お一人。午後は東方寺の檀家さんが野菜、お米をお持ち下さる。
バス旅行は昼寝をしてからだ、という話をしていたら、頑張って3時前には寝たようだ。目が覚めたのは5時前でバスの便は6時過ぎの最終があるのみ。目が覚めるや否や「バス乗れるかなあ。」
仕度をしてその最終バスに乗って竹原まで行く。駅前の本屋で絵本を買い、パン屋さんでくるみパンを買い、スーパーのお手洗いを借りて、お店の前の滑り台とパンダの乗り物に乗る。過密スケジュールをこなし、7時半に竹原駅から電車で帰る。忠海駅まで薫が迎えに来る。
念願のバスも電車も興味津々というよりは緊張状態で固まったようになっていた。

10月9日 晴れ。朝方は寒いくらい。観音が起きる頃、室温18度。
母とネコツアーに行く観音昼前後、薫と浄居寺、保育園へ散歩に行く。
夕方、昼寝をしたが、30分くらいして来客があり、目を覚ましてしまう。もう一度薫におんぶされて眠る。
薫、20年以上保持していると言うライオン柄の布で、観音のジャンパースカートを作る。観音はすっかりエプロンと思っている様子。その上、「これ嫌なの、ズボンが欲しかったの」と観音が告げたので、薫 少々ガッカリする。
このところ「○○ミタイナカンジ」としばしば言う。どこで「カンジ」という表現を聞いてきたのか。

10月11日 晴れ。日中はやや暑い。
午後、おんぶして本堂を散歩したりしてもなかなか昼寝をしないので、諦めて観音の希望通り庭へ出て草取りをする。しばらくすると疲れたらしく、観音が道具を洗って片付けを始める。そして中へ入ると、薫と絵本を見たりしていた。しばらくすると浄居寺へネコを見に行くと言い出した。幽雪が同行する。夕方で保育園はお迎えラッシュ。運動場には帰り際に遊んでいる子供たちや親が沢山いた。保育園の入り口で滑り台に見入る。どうしても滑り台をしたくなったようで、子供たちの中に入って滑り台をする。一回したら今度はブランコへ行き、それも一回で、次は奥の滑り台、そして砂場での砂遊び。砂遊びを長くする。ネコを見に行くために帰り始めたが、またブランコへ行き、そこにいた観音よりも年下らしい子供に持っていたネコジャラシをプレゼントしようとした。しかし、逃げられてしまった。
そのまま昼寝はせず、夕食後、9時頃、薫のミシンを手伝いながら眠ってしまう。薫は河野先生のお子さんたちのズボン製作。

おばあ様作の着物を着てポーズをとる観音10月12日 晴れ。日中はかなり暑くなる。
昨夜は1時間くらいの仮眠で目を覚まし、なかなか寝ようとしない。薫に絵本を次々説明して終に全部の本を見たそうだ。そして疲れ果てて寝ることにしたらしい。なんと12時半頃。
先般、母が作って来てくれた着物を着てお墓巡り。
楽しそうにお墓巡りをする観音昼食もそこそこに眠くなったようで布団の上にゴロンとしたりしていたが、乳母車に乗せて欲しいと言い出したので乳母車で庭へ出る。しばらくしてからおにぎりを食べると言い出して、本堂の前でおにぎりを頂く。
それでまた眠気が遠のいたようで、「みんなで手紙を書こう」と言って紙にいろいろ書き付けたりしていた。
洗い物中の観音しかし、疲れていたようで、幽雪が二階へ上がって干した座布団を取り込んでいたら、観音も後から上がって来て、階段から落ちる。どの辺りからどのように落ちたかは分からない。頭はぶつけておらず、腕を打ったのではないだろうか、と薫は言う。
その後、おやつを食べていたら、椅子に寄りかかろうとして真後ろに転んで後頭部を床にぶつける。
その他、段差につまづいたり、足が引っ掛かって前のめりにバタッと倒れたりした。
全部「ダイジョウブミタイ」とは言っている。昨夜遅かった事で、調子が狂ったか?
夕方、1時間ほど午睡。
夜、足の裏に糊が付いたのが気持ち悪そうだったので風呂場で洗うことにする。ちょうどヤモリがいて、手のひらに乗せたがる。が、怖がる。最後に少し乗せて外に逃がす。

10月13日 晴れ時々曇り。
今日は保育園の運動会。午前中にお寺の猫を見がてら行ってみる。人で一杯。滑り台をするが、子供たちのやっていることが気になる。浄居寺へも行って見たが、裏の方は小学生たちが遊んでいてネコはどこかへ行ってしまっていたようだ。
久し振りに積み木を引っ張り出すと簡単に7つくらい積み上げていた。壊すことが面白いようだ。
ここのところ観音は左右のバランスが整っていない様子。何でも無い所でも、どうも危なっかしい。
脳回路は急激に成長しているように感じられる。言葉が急に多くなっている。ほとんど饒舌と言ってよいほど喋り続けている。
お薬師堂の回廊でガタガタしている板に乗って、左右に「ギッコンバッコン」とやっている。木馬にもしばしば乗っている。バランスの調律をしているのか。
なかなか昼寝をしようとしなかったが、左の踵に小さな石がめり込んで、薫にそれを取ってもらったら急に安心したらしく、夕方6時頃に眠ってしまう。
僅かな地震有り。
この2、3日薫は河野先生のお子さんのズボンを作っていた。それが観音にとって悲しいのか、何らかのストレスになっていたようだ。しまってあった涎掛けを幾つも持ち出して来たり、赤ちゃんの様に抱いて欲しいと言ってみたり。しかし、自分で涎掛けをするのではなく、ネコの縫いぐるみにしてあげていたので、自分も小さい子の面倒を見たいということなのか。
薫は今日は観音のズボン作りに励む。しかし、観音は「黒いズボンじゃなくてライオンさんのズボンが欲しい」と言う。

10月14日 晴れ。
ライオンさんのスカートを履いて、庭で活動中の観音観音は今日はすっかりお出かけする気になっており、持ち物を準備したりしていた。そして昼には車に乗り込んで、車の中で待ってるとまで言い出した。仕方ないので少林窟まで郵便物を一緒に届けに行く。
帰ってから昼食。どうしようかとボヤボヤ思案している内に観音は待ち切れなくなって庭へ出て遊び出す。すっかり気分を損ねてしまった様子。
そうしている内に薫はライオン柄のズボンを作り上げる。薫がウエストのサイズ合わせをするからと、観音に履かせようとすると、嫌がって「履かないの」と拒否。幽雪が抱えて、薫が履かせると途端にうれしそうな顔になり、そのまま履いて遊ぶ。
薫が裁縫をしているので、種蒔きをすることにする。観音も喜んでバケツに種を入れて持って来る。大根等の種を撒く。最後には疲れ果てたようで、温かくなった石垣が気持ちよく、しばらくもたれて休む。
上がって来ると庭石の上に寝転がって休む。これで復活。夕方になってから保育園、浄居寺さまへ行く。滑り台、ブランコ等を一通りするともう暗くなって来た。浄居寺さまへ上がるとちょうどネコが食事中で、少し撫でて帰る。
帰って夕食。何時帰ってくるか判らなかったからと薫が鍋を支度していた。あまり食べようとしなかったが、暫く薫と空想の写真を見たり、想像でカエルを捕まえたりして、想像力を一杯使って遊んだら、急に食が進んで、雑炊の残りを全部食べてしまった。
夜になって、観音の調子が良くなっているように思える。表情が非常に明るくなった。やはり河野先生のお子さん達3人にズボンを作ってあげた事が、ストレスになっていて、ライオンさんのズボンを薫が完成させた事が、効いたようだ。

10月15日 曇り一時雷雨。
朝起きると、階段の上で「おじい様とお食事行きたいなぁ」とつぶやいていたそうだ。
午後、急激に雨雲が迫り、一時かなり激しい雷雨となる。すぐに通り過ぎる。観音と薫が、黒雲が迫って来るのを発見し、いち早く雨対策を開始していた。お陰で、当山さしたる被害なし。
その後、観音は「ネコを見に行きたい」 と言うので、カッパ、長靴姿で幽雪と出かける。ネコは見えず。保育園は休みで、誰もおらず、運動場でしばらく遊ぶ。滑り台は一度やってみたものの濡れていていつもと勝手が違うらしい。泥遊びをしばらくする。水溜りをばしゃばしゃ歩き回る。泥だらけになって帰ってから、2時間ほど眠る。

藍染のコイン入れを持って、ポーズの観音10月16日 晴れ時々曇り。
午前中、法事一件。お参りの方が観音に硬貨を何枚か下さる。観音は初めて自分の硬貨を手に入れたことがうれしかったらしく、ずっと持ち歩く。薫が藍染めの小銭入れを提供する。コインの機能が分かっているらしく、自動販売機に投入すると「ガチャン」が出来ると分かっているようだ。(自販機を利用する事を「ガチャンしたい。」と言っている)
草取りの道具を持ち出している観音観音は昼食前に、庭で遊んでいる内に、暑くなって来た様子で下着だけになる。そして水遊びを始めて、ついにお薬師さんの前にある手洗いの縁に腰掛けて水の中に足をつけていた。遊び道具の片付けの途中でオマルヘ。
しばらくそのままオマルに座っていた。このところオマルに座って本を見たり、ペンに手を伸ばしたりする。薫 「おじい様似ね。」と、一言。その後、お風呂に連れて行って手足を洗う。今度はお湯を入れた桶の中に入って、しゃがみこんで浸かっていた。
食事の時、「食べないの」と言って自己主張する事が頻繁になって来た。かまってもらいたいのだろうか。
午後、どうも眠そうな感じがしたので、乳母車に乗るかい、と聞くと、母の持ち物から見つけ出して来たネコの絵葉書と一緒に乗ると言う。しばらく庭を回っていると乳母車の中でもたれて眠り込んでしまった。3時頃。
夕方、5時頃目を覚ます。目が覚めると、ミシンをかけていた薫の所へ走ったようだ。第一声は、おはようございますの代わりに排尿の要求。オマルヘ。
観音が先般、庭で箒に跨っていたのを見かけた薫は、小型の竹箒を作ってそっと立て掛けていた。夕方、観音はそれを見つけて、またがってみていた。
入浴後に歯磨きする。薫に甘えてふざけているのか、このところの例で、なかなか進まなかった。が、左下奥歯が虫歯になりかけているようだが、観音が歯磨き中に歯ブラシを噛んだために、そこに黒い物が詰まってしまった。大変だ!ということになると観音は「父上、手伝って下さい」と真顔になって呼びに来た。幽雪が覗き込んでから、薫が爪楊枝で黒いものを取る。小豆かゴマの皮か?真面目に歯磨き。
このところ観音が、寝る時に連れて行く縫いぐるみの数が 少なくなって来た。以前は全部かき集めていたものだ。最近は何か思うものが、一つだけあれば良いことが多くなった。今日は「友だちいらないの」と言って、縫いぐるみは連れず。
ここ数日は、一時は無しでは寝れないのでは無いかと案じたパンダの縫いぐるみは、登場していない。大の字になって眠っている。

10月17日 晴れ。
午前中、薫と観音で方丈への届け物と郵便局経由の児童公園へ。
午後、横村先生をお訪ねする。観音、暫くその近くの児童公園で滑り台をして広場を走り回って来る。その公園は、草刈の直後。広場が、雑草に覆われている公園は珍しい。
今日は、自分から大人と同じようにしようとしている。その気でやっているからか、丁寧にお辞儀する姿も、だいぶ型に成って来た。
観音は、なかなか眠らない。「お休みなさい」と両親に見放されても、平然と延々喋り続ける。横になって、暫く黙って聞いていたが、思わず、薫と2人で笑い出してしまう。納得するまで、兎に角、しゃべり続けていた。

10月18日 曇り。
観音は3時頃から2時間ほど昼寝。
今日も、空想のカエルを捕まえたり、跳ねさせたりして遊ぶ。実に人の動きを良く見ている。薫が、「あ、跳んじゃった!」と視線を動かすと、それを追って観音が カエル捕り。
観音は、本棚にあったおじ上のバンビの絵本を見つけ出して来ていた。薫にそれを読んで貰いながら見ていた。段々泣き顔になって来て、終に泣きだす。薫、咄嗟に観音をオマルに抱えて行く。間に合ったようだ。どうやら、哀れなバンビでは無くて、排尿を我慢し過ぎたらしい。

10月19日 曇り時々雨。
朝、江尻博士来山。雨模様のため、薫、観音と共にかぐや姫美術館へ行く。
2時半頃帰って来て、観音はすぐに大満足で眠ってしまう。2時間以上。
夕方、博士と薫を追って畑の収穫に行く。風邪が治ったばかりのご近所さんと一緒になってしまう。帰ってからしばらく観音は鼻声になっていた。全員急いで、お茶を飲む。寝起きですぐに出て行ったから冷えたのかもしれない。夜には鼻声はなくなっていた。

10月20日 曇りのち雨。
午後から江尻博士、薫、観音は大久野島へ行く。昨日より、天候が回復する予定だったが、予想外に雨が降っていた。観音はレインコートに長靴で島へ。ウサギは、殆ど山中に避難しており、残念。
観音は、毒ガス資料館で椅子につまづいたらしい。帰って来ると眠ってしまう。1時間半ほど。その間に江尻博士を駅までお送りする。観音、お別れが言えず。

10月21日 曇り後晴れ。
朝から電話、来客多数。広島市内からいきなりの葬儀の依頼。
観音、秋色の笑顔ゴミステーションの掃除当番。薫と観音が2人で掃除に行く。水道の鍵などを取りに、上がり下りしている時、観音はでこぼこ道で躓いて、下に向かってこけたそうだ。後になって気がついたが、この時 肘を擦り剥いていたようだ。掃除中に通りかかったご近所さんが、手伝っている観音にと、果物を下さったのだと持ち帰る。
日中、葬儀の準備。夕方、方丈、道育師、広州師がお見え下さる。しばらくして当家の方々が数名みえられ、5時半頃からの葬儀。
観音は4時半過ぎから7時前まで昼寝。途中で、目を覚ました折に、薫が「未だ終わらないわよ。」と告げると、そのまま寝てしまったそうだ。
その後、幽雪は、少林窟道場での道育師の誕生日のお祝いの宴に参加。献杯。
帰山し、我が家は カレーだったと聞いて、「頂こうかなぁ」と言うと、お釜が空だとの事。観音は夕食のカレーライスをお代わりして沢山食べたらしい。
「○○大好きなの。」と言う表現を観音が使った。今まで、好きなのとは言っていたが、大好きは初めての表現。何時の間にか何処からか、新しい言葉を吸収している。

10月22日 曇り後晴れ。かなり寒くなる。夜は半纏が必要。
朝、観音が薫よりも少し早く目が覚めたら、スヌーピーの絵本に向かったようだ。そのまま様子を伺う薫。観音は、本を開いて、「雲消えちゃった」「玉子ゆでてある」などと一人でぶつぶつ本を読み始めたそうだ。いつも目が覚める観音を待って、薫が読書しているので、自分も、と思ったらしい。
昼前後、庭の芝生の移植をする。観音も泥遊び。途中、疲れたらしく、じっと座り込んで砂をいじっていたから、おやつにしようかと言うと喜んでおやつにする。本堂前の石段の上で横になってゴロゴロする。少し眠くなっていたようだ。
チョウチョ捕りもした。夕方、ネコを見に行く。その後、2時間ほど眠る。
観音、今日初めての裁縫。薫が、ミシンでは無く手縫いしているのをジッと見ているので、薫が糸を通した針を渡したそうだ。ハギレ3枚が、一体化していた。「良かったね。教えて貰ったんだ。」と観音に言うと、薫が「ぅんん」と首を横に振り、「これ観音の針。指に刺すと痛いよ。って言っただけ。」との事。

10月23日 晴れ。暮れる頃、雨。夜は冷え込む。
薫は、裁縫の続き。観音、今日も裁縫に挑戦。今日は、指を刺したらしく、急に途中止め。薫が、招き猫柄の布で縫っているので、その柄の猫を空想上で連れ出し、遊ぶ。糸くずを置いて、「遊んでる!遊んでる」と言い、空想上の餌を与えて「食べてる、食べてる!」と言う。その内、糸くずにしがみつかせたり、オンブしたり、肩に乗せたり、時々幽雪の頭にも載せに来る。撫でてやって欲しいと連れてくる。「つかまってるの」と薫に糸くずを垂らして見せに行くと、薫は「あ、すべり落ちちゃった。ポテッ!」と糸の下に手を差し出す。観音、喜んで今度は幽雪のところへ「落っこちちゃう。落っこちちゃう!」と糸をぶら下げて来る。幽雪と薫の間を空想上の猫を連れて、何度も何度も往復。

10月24日 晴れ。
寒いと思うが、何故か観音は今日は短パンが履きたいと言う。これから気温が上がる気配がするのだろうか。
竹の里ふれあい市場と言う 農家の人が自家製野菜他を持ち寄る朝市で、薫が銀杏を少々入手。これは、新鮮で美味しいと嗅ぎ付けたようだ。支払いが済むと、農家の人が「状袋に塩と一緒に入れてから、レンジに3分ほど掛けるとジョウニ美味いケー。イタシイことは、イッソいらん。パンパン弾けて、塩がマブッテ、エエガーできるケー、まーやってみんサイ。そのかわり、ぷーと膨れてから、ゴツイ事パンパンやるケー、丈夫な状袋でないとダメでー」と教えて下さっていた。それを聞きつけた別の買い物客が、銀杏を求めようとしたが、薫が僅かなそれをちょうど買い占めた後。
横村先生にもお一つ差し上げて帰る。夜、早速 ポップ銀杏に挑戦する事にした。「丈夫くろ!」と薫は、今日 盲人援護会から届いた愛の歯ブラシの入っていたA4判の封筒を持ってニヤリ。調理を始めて、2分を回ると、爆発が始まる。音と共に袋が膨れ上がりながら、あちこちに弾けて当たるのが外からでも見てとれる。突如始まったイベントに観音も大喜び。袋の口が開きそうに成って、2分半くらいで止めた。お皿にあけると、見事に弾けたうぐいす色の銀杏が壊れた殻と共に、芳醇な香りを上げた。一同、実りの秋を頂く。合掌、「頂きます。」
教えられたより、早く止めたからだろう。数個は、弾けていなかった。「もう、ダメかな?」と言いながら、薫が再びレンジへ。一つしか弾けなかった。「んー」と、更にもう2分。「ダメね。」と銀杏割りを取り出す。観音これにも興味津々。最後の一個は、観音が割る。何と、この後半の銀杏は、ポリポリに成ってナッツのような歯ごたえ。香ばしさは、一段と増していた。