9月1日 曇り時々雨。
二百十日。薫は雨が降って良かったと言う表情。昔の人が種まきの為の雨と言った日が変わらず雨だったのが、ホッとさせたようだ。ただし、大した量ではない。
先般、薫は別ルートで、2種類目のカスピ海ヨーグルトを頂いた。2ヶ月程前から育てておられたそうだ。ここにもあると知り、早速
食べ比べと言う事に成った。薫は、「香りがちょっと違いますね。」と言ったが、「同じですよ!」とおっしゃった。それを機に、薫はそのヨーグルトの種も育てている。「どうしても、納得が行かない。これは、僅かに臭いがする!」と言う。育てたり、保存されたりと封をされているところから、開けた瞬間の一番分かりそうな香りを確かめると言うのだ。今日も開けて「やっぱり違う!」と薫。更に、同条件での培養をしたり、残り香も試みてみると実験続行中。
お昼寸前に、薫の同級生で唯一、未だに縁があると言っている岡田氏がお見えになる。薫が、以前から育てていたカスピ海ヨーグルトを差し上げるお約束をしていた。
「あれ?拓也くんは?」と薫がお顔を拝見するなり問っている。10歳にもなると自分の世界があって、お出かけになる寸前にお友達が現れて、遊ぶ方を選んで来なかったのだとの事。そんな事で奥様はお宅のお掃除をされているとおっしゃる。残念そうに観音に「お兄ちゃん一緒じゃなかったね。」と言う薫。お昼までの僅かな間ではあったが、お茶を飲みながら、軽快で歯切れの良い口調でお話しをされて、大いに笑わせて下さった。
午後から、雨の恵みを生かして、畑に種まき。観音の選んだ、えんどう豆も蒔いた。
9月2日 雨のち晴れ。
未明に土砂降りの雨。飛び起きて対応。観音も目を覚ました。
薫は、目が覚めたからとそのまま予定外に早い起床。先月、体調不良らしいと別の方からお聞きしていた知人に便りを書いたりしていたようだ。すると、何かが足に上がるのを感じて飛び上がって振り落としたのだそうだ。体調4、5センチの小さなムカデ!手元にあったテープで捕獲し、難を逃れたとの事。危なかったね。
今日も、2種類のカスピ海ヨーグルトの追加テスト。「湿り気を帯びた木材チップとか、キャベツの脚の部分とか、納豆系と言えない事もない香りがあるでしょ?」なるほど、そうだね、パックからの香りは違うね。「味も違うわよ。」確かに若干の酸味もある気がするよ。でも、冷蔵庫の香りが付いたとか、移動させた事で何か起きたと言う可能性は否定できないと思うけどな。実は、先般お持ちくださった方は、簡単なので、直ぐ出来るとおっしゃっり、説明文などはお持ち下さっていなかった。が、薫が以前頂いた菌に添えられていた文章をお見せすると、説明文だけを頂いて行きたいとお持ちになられた。薫は、それを非常に悔やんでいる。確実に違うルート上のもので、しかも発祥が同じでありながら、確かに違うのに、私はあの説明文を渡してしまった。しかも、その方は、その方にヨーグルトを株分けして下さった方々に差し上げるとおっしゃってお持ちになられたのだ。こちらのヨーグルトのルートを示した部分だけでも削除してしまうべきだったと、つくづく悔やんでいる。まさか、全然違うルートのものにあの説明文を添えて株分けしたりしないだろ。「ところが、あの説明文なら、他菌の混入の可能性が非常に低いし、扱いも端的に書かれていると感心しておられたので、ありうるのよ。」と、暗い顔をする薫だった。で、どうするの2種類目のカスピ海ヨーグルトは?「説明文の事もあるし、実験続行よ。今の種はここで入れて寝かせたものだけど、同時に作ってないから、今度は前の菌と同時に同じ種類の同じロットナンバーの牛乳に入れて、同じ時間、置いて見る。」
でも、種の量は目分量なんだろ?「じゃー、煮沸したスプーンを用意しなきゃ。」本格化してきたね。「だって、説明文上げちゃったんだもん。はっきりさせとかなきゃ。」
幽雪の母が病院から電話してきた。昨日からとても気分が良くなって来たのだと言う。蓄積疲労が徐々に抜けてきたのかな?良くなって来たからと、無理だけはしないで欲しいと頼んでおいた。
観音が、ここのところ話す文章が日増しに長くなっている。今日は、「アンナァー、スコップ拾ってきたよー。」「コーニーちゃん、背なかビショビショ、濡れちゃった。」など言う。そう言えば、ぬいぐるみ達と、1人でごっこ遊びも出来るように成ったようだ。記憶力、想像力が爆発的に育って来たと言う事だろうか。薫が言葉やしぐさだけで、観音を愉快に笑わせている。
9月3日 快晴。
カウンターが10000に乗りました。更新が長期出来ない時もあり、申し訳なく、恐縮しながら、深謝。
9月5日
午後、実相寺さま、永福寺さま、永賞寺さま、ご姉弟がたがお立ち寄りくださった。幽雪は、お盆に出せなかったゴミを
処分場へ搬入に出かけたところだった。「今からチョッとだけ、車を回すので下までおいでよ」と頂いたお電話で、午睡中の観音は目を覚ましたものの、寝足り無いのでゴロゴロと起き上がらないまま。置いて出るわけにも行かず、薫は観音を励ましながらオタオタとやっていたとの事。永賞寺さまが駆け上がって来て下さり、観音も慌ててその場にあった縫いぐるみを抱え、帽子を被って飛び出す。
「慌てていて、お目には掛かったけど、ご予定をお聞きし忘れた!」と帰山すると薫が、狸に鼻をつままれたような顔をしていた。勝運寺の大奥さまの表敬にお見えに成られたもよう。向かわれる途中で、お寄り下さったようだ。
薫が紙を広げお茶のブレンドを始めると、観音は何時も大喜びで飛んで来て手伝う。お茶を缶に詰めるのも大分上達した。それでも、手伝ってもらう側の薫は、手伝う側の観音のように喜んでばかりはいられなさそうだ。神妙に茶葉を拾う。
9月6日 晴れ。
薫は、カスピ海ヨーグルトの実験を終わりにしたようだ。「やっては見たけれど・・・要するに違うって事は皆の認めるところなんだから、意味無いわね。幾らやったって同じには成らない、だって違うんだもん。もう止めたわ。」と言っている。
ま、薫が作っているのだって、頂いたものから変わっていないと言う保障も無いよね。「あら、言ってくれるわね。そうだけど・・・」と、薫。
9月7日 曇り時々雨。
お薬師講の準備をしていると、降り出す、切り上げて、雨の対応。晴れて来ると作業再会、この繰り返し。
本堂を伺う人影あり??「あ、お久しぶりですね。」耳のご不自由な女性の参拝者。お墓参りに見えると必ずお立ち寄りく下さる。お茶を一服ご一緒して、お墓へ上がられた。間なし、土砂降り!幽雪が、急いで傘をお持ちした。雨が上がると、傘を持って再び本堂の前にいらした。丁寧にお辞儀をしてお帰りに成る。どうぞ、お気を付けて!
薫が洗濯ものを干していると、観音が物干し場の下へ「母上!」とやや大きめの草履を履いて現れる。階段を登ってくる気だ、「気を付けて上がるんだよ。」と薫は見守る。途中で、顔を上げて嬉しそうに母を見上げる観音に「気を抜かない!」と、尚も視線を送る薫。時々、顔を上げながら、嬉々として登り詰める。最後の一段、「最後まで、気を抜かない!」やった、この階段も無事に上がり切った。物干し場への階段は両側とも壁が無い。今までは、途中で必ず助けを求めた観音だが、今日は違う。
暫く、母を手伝って洗濯物を干した観音だが急に「もう、疲れた。観音、降りる!」と宣言して、階段を下ろうとする。が、しかし何時も手を借りて前を向いて降りてきた観音にとって、ここは手ごわい。屋内の階段は、壁があり、しかも上半分は螺旋状に巻いているので、片側に向かって板幅が広くなっている。そこなら、お尻を付いて、一段づつ降りれるのだ。これで、半ばまで下れる。ところが、ここには手を付く壁も無く、お尻を乗せる板幅も無い!薫は「反対を向いてごらん。登ってきた向きだよ。」と指示を与えて、尚も洗濯を干す。向きを変えた、片足を恐る恐る延ばす、届かない内に上げてしまって、躊躇。再び薫が「さっきので大丈夫だよ。後少しで下の段に足が着く。」と言うと、再び片足を伸ばす観音。届いた!次の脚を横向きに下ろして、身体を開いて反転し前向きに成って又戸惑う。見守りながら薫は「向きを変えると困るよ。」と一言。観音再び、上の段に手を付いて、片足を上げる。今度は、身体が開かないように、下ろしてある脚とは、逆側に次の脚を下ろした。「出来た!」母を見上げる観音。「気を抜かないよ。」ずっと目を離さないで見守る薫の手には干しかけの洗濯物が握られたまま。この位置関係では、何があろうと観音を助けるのは不可能な薫は観音の今の能力を信じて、引き出している。一足、又一足、観音は実に用心深く
下って行く。途中、2回程、足を開いて付いてしまい上げ直して、再挑戦。最後の一段に来て「降りた!」と告げる観音に、「後、一段!最後まで気を抜かない!」と薫。到着すると、大いに賞賛。と言うのが、薫から聞いた話だ。
これは、観音に相当な自信を与えたようで、急に大きな声で「母上!」と言うように成った。今までとは、一回り違う自信を備えた声に成ったのだ。嬉しいのか、その後もチャンスを見て2度、自分で階段を下る。薫、今日は正に
成長を見守ったんだね。
9月8日 晴れ。
お薬師講には今月もおばあちゃん達はお見えに成らなかった。薫が、カスピ海ヨーグルトでお誘いした、方が若干一名。結局、ヨーグルトの試食会で終わり、ヨーグルトをお持ち頂く。
好天に恵まれ、観音は縫いぐるみ達を入浴させる(洗う)。浸け置きにする方が汚れが溶け出すと言うので、水風呂に入れた状態のところで母に促されて立ち去ったのだが、やはり気が気では無いようだ。一時したら、自分ひとりでも「犬、アワアワする」と風呂場へ。その内、帰ってくると思っていたら、タライは手におえなかったようで、洗面器を取り出し、タライから水を汲み上げては、洗面器でお風呂を続行。物音にそっと様子を見に行った薫が「洗面器で、頑張ってるわ。」と帰って来る。暫くすると、「母上!」と今までに無い大きな声、「ハーイ!」と駆けつける薫。「アワアワしちゃった。」と風呂場から僅かに出て、泡だらけの手を薫に見せる。「石鹸をつけると、滑りやすくなるから気を付けてね。」っと注意して薫は又、帰って来る。根気強く洗っていた。パンダ、猫バス、犬、白熊
総勢4匹。母に助けてもらって脱水機の後は、日向ぼっこだ。
夜には、猫バスの窓の絵に自分の写真をシールにプリントしてもらっていたものを貼って、「観音、乗った。」と見せに来る。発想も豊かに成ったね。新しい歯ブラシが気に入ったのか、長い時間を掛けて自分で歯磨きをした。全てに自信が付いて来たのだろうか。
9月9日 晴れ、一時土砂降りの雨。
昼食を何にしようかと話していると、観音は「めん、めん 食べたい!」と自己申告。
夕食をゆっくり時間をかけて取る内に観音はおじいさま慣れして来たもよう。方丈のところへ観音が、話し掛けに何度も行く。慣れて来たら、何故か観音は「おじい上」と呼び方を変えてしまう。薫、これには良い説明が見つからず、「ん〜、おじ上じゃないのよ。ジージだからね、おじいさまよ。」と良く分からない説明。
車で移動中に雨が降り出した。観音が何度も「雨、降って来た!」と言ったのだが、「そうだね。雨が降ってるね。」と答えていた薫。土砂降りが小雨に成った頃、観音が「冷たい。」と言い出した。何と、観音の座っている所の窓が全開だったのだ。薫、急いで車を止めて、濡れたチャイルドシートをカバーする物などを探す。飛んだ失敗。観音、申し訳ない!
9月10日 晴れ、一時雨。
観音、3時間以上の長い午睡。薫、その間に葉書を書いていた。
日が落ちる頃、「観音と約束したから」と薫は観音を連れて、海へ。暮れたからか、大きなクラゲが出たようだ。薫、今年2度目のクラゲの攻撃に遭う。今回は、大腿部全体をやられたようで、浜に逃げ上がった薫、息をゆっくり吐きながら痛みに耐えていた。今回は一緒に泳いでいた観音を何とか守り切ったようだが、薫自身は、最終的にマリン・スタッフのお世話に成る。
実は、海を上がって、観音の様子も見るべくシャワーを使った。これが、薫の症状を悪化させてしまったのだそうだ。触手の刺胞に毒があって、刺された瞬間に激痛が走るのだそうだが、真水を使うと
この刺胞が破裂して毒が広がると言うのだ。本当は、刺胞の破裂を防いで取り除く為に食酢をかけ続け、海水で洗い落とすらしい。その上で、更に酢を充分にかけて、病院へ搬送するのが手なのだそうだが・・・時すでに遅しである。酷いミミズ腫れが大腿部一面に出来てしまっていた。アイスパックと薬を用意して下さった。重症だと、呼吸停止や心肺停止に陥る事があると言うのだから、2人とも運が良かったと言って良さそうだ。
手当てをして下さりながら、薫の腕に前回 攻撃を受けた痕を見て、クラゲの種類をピタリと当てたのには
一同驚く。そのクラゲは触手が一本だけとの事。触手部分だけを目にしたのであろう薫の説明は「葛きり」だから
正しく、それである。茶色に成っているその痕は、壊死した部分だと教えられた。この海辺の神様の様な知識の持ち主のお陰により、薬とアイシングの効果が劇的に上がることだろうと、薫自身が言う。信頼とはそうゆうものかもしれない。今回は医師の治療より、薫には効果がありそうだ。痛いと言いながら、好人物との出会いに嬉しそうな薫であった。
9月11日 晴れ一時雨。
アメリカのテロ事件から一年目。薫は葉書をたくさん送り出していた。観音、切手貼りなどを手伝う。
11時半に方丈と市役所へ。企画開発部長、市長とお会いする。お話をする内に、廃校に踏み切らねば成らない状況に成っている学校が幾つもあると伺う。学校が無くなると、村が無くなると言うのが住民の意識で、中々廃校に踏み切れないのだとおっしゃっておられた。「願わくば、禅堂兼住居と、地元還元型の精神教育の場と・・・2校ほど貰えると良いのになぁ〜」と方丈。
4時過ぎに到着される円満寺様を方丈と空港までお迎えに上がる。円満寺さまが「明日から桃林寺の方丈様はお留守だから、これから
桃林寺さまへ伺おうではないか」とおっしゃられ、急遽
お邪魔する事にした。突然だったにも関わらず、快くお会い下さり、更に今日の会合がお済みに成られた後に、ご一緒くださるお話となる。
夕食は、方丈、円満寺様と共に5名で取った。途中で、薫と観音は先に失礼した。その後、桃林寺様がご一緒下さり、大いに盛り上がる。桃林寺方丈がご案内下さった所では、桃林寺さまご自身がドラムを演奏して下さった。その腕前たるや、中々で、大いに驚かされる。今日は、兎に角、出会いの多い日と成った。
9月12日 晴れ。
薫は、明け方も1人で起き出し葉書を書いていたようだ。「9.11」の大きな力が薫をおし進めているようだ。
葉書を投函して、観音堂、唐人墓、民俗園と回る。観音は、「海」を希望して居たようだったが、暑くもあり、昼食との兼ね合いもあり、結局浜辺へは降りず。
昼食後、民俗園に併設された、モンキー研究所のリスザルの森で手から餌を受け取る(?奪い取る)サル達と過ごす。午後に成ると全員が眠気に誘われていた。昼食前から眠りそうになっていた観音は、脳の一部が眠ってしまったようで、民俗園の遠見台の階段の途中から踊り場へ
転げ落ちる。方丈と薫は未だ段の上、幽雪は踊り場へ一足先に下りた瞬間だった。全員、肝を冷やした。大事には至らなかったが、頭、鼻、胸、膝、などを打撲。親として大いに反省した。そこから直ぐに戻って、方丈と観音は午睡を取る。薫は、観音の様子を慎重に見守る。
夕方から、方丈と幽雪は平田氏にお逢いする為に出かける。円満寺様も合流して下さる。円満寺さま、昨夜の方丈の予言通り、今日はだいぶお辛かったようだ。「昨夜のは、効きました!」と本日は少々お元気が無い。
ぐっすり眠った観音は、薫と夕食も普通に食べられたようだ。頭のコブはだいぶ長く広いが、髪を結っても騒ぐ事は無かったとの事だった。薫が大事を取って入浴は取り止めにしたと報告。幽雪も適切な判断だったと思うと同意。
9月13日 晴れのち曇り一時雨。
薫は夜も観音を見守っていたようだ。朝、腫れぼったい顔でシャワーを浴びていた。観音、中々目が覚め切らないようで、朝食は殆ど食べない。昼食も観音のご希望通りの「めん、麺」と言う訳に行かなかったからか、進まない。
観音は薫の膝で午睡。薫は落とした小物を拾おうとして足の裏がつってしまったが、眠った観音を抱えていたのでどうにもならなかったと、その後大いに痛がっていた。極度の筋肉痛のような感じだそうで、クラゲより後が痛そうだと言う。夜には、湿布をしていた。
午後、一光師がお訪ね下さる。2、3日前から道育師の所へお見えなのだそうだ。今日は、徒歩にて郵便局へと降りてお見えに成られたそうで、お寄り下さった。何年ぶりだろうか?玄路師とご一緒にお見えに成られていた頃以来だろうか。丁度、お湯を切らし、沸かしているところだった。暫しの間、観音が出してくれた棒アイスをかじりながら、お茶も入れずにお話する。やがてお湯も沸き、国に帰られた玄路師のお話や、道育師の事も交え語らう。観音は途中から、何が何でも外に出ると言い出し、薫がお届ものをしに行く事に決める。何故か、長靴を履いて歩きたかったらしい。
夕方、幽雪は観音に付き合って 浄居寺さままで猫ツアーに行く。薫、ご近所の方に子メダカの里親を打診に行く。OKして下さったと嬉しそうに帰って来た。
9月14日 晴れ。
数日休んでいた薫のヨーグルト製作、今朝は台所に3つ並んでいた。以前、お分けした方のお1人が、味が変質してしまったと再度の株分けを申し込んで来ておられた。
薫、子メダカ10匹を生まれ育った海苔の瓶からお玉ですくい上げ、ジャムの空き瓶に入れて里親と成って下さるご近所の方の所へ。餌と、水草2種と共に貰われて行った。
お昼前に、薫は勝運寺様にお電話をしていた。小学生の若に子メダカの里親の依頼だ。丁度、若は出ておられたが、方丈様が「育てるでしょうから頂きましょう。」とおっしゃって下さったと言うので、10匹をお届けする。
幽雪の母が「退院したからね」と、電話をして来る。大事を取っての入院生活だったし、これからも無理はしないから心配しないようにと言っている。状況が急変するわけでは無いが、退院と言う響きには、やはりホッとさせられる。動くなと言うのは無理だろうし、それも反って健康的ではないだろう
「ま、大事にやって下され!」と言っておく。
午後、岡田氏が訪ねて来られる。薫が頼まれていたCDを受け取りにみえられた。産業廃棄物の回収、加工、リサイクル、と言った事業に携わっていらっしゃるそうで、現場のお話を色々伺う。なるほど、金属製産業廃棄物の処理とは、人工鉱山のようなものなのか。コンピューターや、パチンコ台の基盤などの良質の物からはかなりの金が、電話線などは銅、と言った具合である。コンピューターなどは中にある情報が問題となる。全機を解体処理をすると言うのだが、中でも重要なデータ‐を取り扱っている所との契約では、取り外したハードディスクを磁化し、データ‐の完全破壊をするそうである。それまでの間は、保管する倉庫には施錠すると言うのだ。産業廃棄物がらみの問題が後を断たないわけである。兎に角、全てに手間が掛かる仕事なのだ。しかし、これからより一層、需要のある業種であろうだけに、誠実さが要求される筈である。
9月15日 曇りのち一時雨。
敬老の日。幽雪の母と電話で話す。その後、元気にやっている様子。一安心。
午後、十楽教子さんがお見えくださる。薫にお手持ちだった布を数枚ご持参くださった。
夕方に観音も連れて3人で、勝運寺のおばあちゃんのところへ。今日は、かなり明快にお話なさる。本日が敬老の日である事も良くお分かりだったし、観音に「そろそろ会いたいなぁ〜と、つい2、3日前に思ったのだ」ともおっしゃった。その一方で、もう随分前から一度もお越しになられて居ない方が昨年の暮れにいらしたとおっしゃったり、往復チケットで帰った孫に飛行機代ほどを都合したとおっしゃるなど、脳もお年を召された事もお示し下さる。おばあちゃんとお別れして下りると、大奥様がお茶をおっしゃって下さる。すかさず、観音が「お茶!飲む!」と言い出し、抱っこして頂いた。おばあちゃんのご様子などお伺いしながら、お茶を頂いて帰る。
夕食後、方丈のところへ。観音の事をご心配下さっていたので、元気な姿に喜んで下さった。一空居士とご挨拶して、帰山。
9月16日 曇りのち雨。
幽雪、墓地所の草にバーナーをかける。掛け終わるのを待つように雨が降り出した。
薫は、洗濯物がなかなか乾かないと嘆きながら、洗濯を続けていた。観音も縫いぐるみを洗いかけて、「日向ぼっこできない。」と浸け置く。
雨降りになったので、薫は 昨日教子さんに頂いた布の一枚で観音のスカートのような短パンを作っていた。前から見るとスカート、後ろから見ると短パンと言う妙なものだ。薫としては、工夫の作品だったようだが、観音が突如「かっこわるい」と発言。薫は、落ち込む。その様子に観音は驚いて「かっこわるい」の意味を理解しようとしている。どうやら、「かっこわるい」の正確な意味が解っていなかったらしい。どこで聞き覚えて来たのだろうか?
9月17日 曇り時々晴れ。
雨上がりの草取り。
東方寺の檀家さんが、お米や野菜をお持ち下さる。代が変わった今日でも、変わらず良くして下さる。電話ではあるが、方丈と暫くお話に成られた。お茶をご一緒して、お話をお聞きした。猪だけでなく、山の生き物(狸など)が次々里へ下りているそうだ。猪も、昼夜を問わず出てくるように成ったとおっしゃっていた。生態系があちこちで変わって来ているのだろう。
9月18日 晴れ。
久しぶりの洗濯日和。薫も観音も、嬉しそうだ。薫が洗濯物を干している間に、観音は一人で勝手に次の洗濯物を網袋に入れては、ジッパーを閉め洗濯機へ入れていたのだと、薫が喜びと驚きを持って報告してくれる。散らかす時も派手に成って来たが、出来る事も多くなったね。目下、ぐんぐん成長中。
お彼岸の華の準備。
9月20日 曇り。 トウ隠老大師のご命日。
少林窟道場へお参りに3人で、行かせて頂く。観音、何故か今日は、お参り上がらないと言い張る。終には泣いてしまい、薫
大慌てで、観音を連れて車に退散。お騒がせいたしました。
芝生の移植を始めた。石庭のように砂地にして置きたいと方丈が希望しておられる所へも芝生が伸びて来ている。丁度、砂の流れ止めをしたいと思っている場所もあるし、照り返しを和らげる為に植えてある所が部分的に弱ってきている。思ったより、手間の掛かる仕事。
9月21日 晴れのち曇り。
華の入れ替え。芝生の移植。
中秋の名月の筈だったのだが、昼間の晴れ渡った空とは裏腹に、一面に曇っている。それでも、庭にござを出し、テーブルを置き、薫の作った月見だんごや、穂を飾って月見。月見だんごの製作を手伝った観音は、この作品がとても気に入ったようで、お月様の分も頂く。雲が薄くなる様子は無く、だんごが尽きたのを期にお月見も終了。
9月22日 曇り。
墓参者多数。
芝生植え替え中の庭で、観音も玩具お持ち出して、作業をする。今まで、庭を掘り返して良いとは思っていなかったようで、泥水遊びが出来るのは、新鮮な事のようだ。
9月23日 快晴。
幽雪、勝運寺さまのお手伝いで棚経回り。幽雪が良く当たる、見事な盆栽がたくさんあるお宅がある。初めて、そちらのご主人とお会いした。器用な方だと思っていたが、今日は「今、船を作っているんですよ。」とご自分で部品を切り出して、渡し舟の模型を作っておられた。「昔、汽船がこの沖に来るとこんな船で、乗客を渡してたんだ。思い出しながら、思い出しながら作っとるんじゃ。」とのお話。そう言えば、勝運寺の大奥様が始めて忠海に降り立たれた時は、鉄道も無く、汽船で来て小船で港に渡ったとおっしゃっておられた。大正時代の事だ。
お昼に成って気温が上がったが、早いうちは涼しくしのぎ良い。
9月24日 晴れ。
観音は起きて支度が整うと、早速 大きな画用紙と紙袋を持って「おめでとうおざいます。」と深々と頭を下げてくれた。画用紙一杯のメッセージと薫の作った作務衣のズボンであった。ありがとう。幽雪、42の誕生日である。
観音と薫は二人で、こっそり準備をしてくれていたそうだ。何度か、発見されそうになって、慌てたとの裏話を聞く。
観音が3ヶ月に成った水月ちゃんにガラガラをプレゼントすると言うので、お届けしようとしたらお留守。観音残念がる。このガラガラは自分が使ったものを、薫にリニュアールして貰ったのだそうだ。なるほど、聞き覚えのある音だ。
9月25日 晴れ。
幽雪、久しぶりに、観音と歩いて郵便物を出しに行く。当然の如く、郵便局の向かいの児童公園へ。階段を登って・・・付いて上がる。何?滑り台を滑る?送り出してから、下で待っている為には・・・不可能だ。「気を付けるんだよ。」と滑り降りるのを見送る。何時の間にか一人でスイスイ滑れるように成っていた。随分成長したね、観音。
9月26日 曇り。夜に成って小雨あり。
薫、コスモスの花をたくさん生けた。観音が起きるまで掃除をしていた薫だが、掃除機が引っかかって水害が起きる。バケツ半分ほどの汚れ水が畳にまでこぼれたらしい。雑巾がたくさん出動していたが、最終的には、扇風機が灰皿に片足を掛けて、強風を送って乾燥を助けていた。
猫ポンプの修理。観音が、自分で手足を洗うのにお風呂場で愛用していた猫ポンプが動かなく成っていた。電池切れだろうと入れ替えても動かないので、その内に開けて見てみると少々前からの約束だった。
残念な事に回路ではなく、モーターそのものがダウンしたのだと判り復旧の見通しが無くなる。観音が残念そうに覗き込んでいたが、薫が「直接水道に繋いだらどうだろう?」と言い出した。要するに、猫のヘッドの部分から水が出れば、直ったと言う訳だ。観音を残念がらせるより良いか?でも、何処に付けるんだこんなの?「あら、お湯の出ないシャワーがあるじゃない。どうせ使わないんだし、シャワーのホースを取っ払って、直接繋いじゃうのよ!」と薫。なるほど、で?「シャワー側に回せば、猫ポンプの頭から水が出る!」ここは?「切っちゃえば。」これは、「外しちゃう。」と何の抵抗もなさそうな様子。なるほど、やりましょう。暫くの工作の後、完成!!ところが、観音にはシャワーの蛇口が重くて回せない。確かに、何の抵抗も無く回ると通常は困る事もあるだろうね。「大丈夫よ。目的があれば、直ぐに出来るように成るわよ。」と薫はケロっとしている。観音は、直ったような、直ってないような猫ポンプに複雑な心境のようだ。
観音と薫がお風呂を上がった頃に、雨が降り出す。薫が「ん〜、もう降ったか!」と洗濯物を回収に行く。「乾いていないけど、濡れてもいない。」と言う洗濯物が届くと、観音は寝支度どころでは無くなってしまった。やっと洗濯バサミが開けるようになったので、自分が挟んで行くと言うのだ。結局、薫には一枚も干させず。オイオイ、夜更かししすぎだぞ、観音!結局、全部干してから布団へ。
9月27日 雨。
久しぶりに終日の雨。潤う。
9月28日 曇りのち晴れ。
薫、観音のズボンを作る。これまた、随分ちがう雰囲気だね。「全くのハギレだったの。青い丸が一杯だから喜ぶかなと思ったんだけど・・・」との事。悪くは無いよ。ズボンと言うよりロングスカートみたいな感じだけど。「チョッと大きめにと思ったら、凄く大きく成っちゃって・・・上げてるの」
なるほどね、長く穿けて良いじゃないか。
お昼寝から目を覚まして、芝生の移植を手伝って裸足で駆け回っていた観音だが、本当はネコを見に浄居寺さまへ行きたかったのだと、日が暮れてから強固に主張。その為に、サオリお姉ちゃんにプレゼントまで作って袋に入れていたのだと言うので、浄居寺さままで散歩。暗くて、ネコなど見えない。
9月29日 晴れ。
観音、今日もお八つを持って、浄居寺さまへ猫に会いに行く。丁度、サオリお姉ちゃんもいらして、猫を捕まえて下さったり、お八つをご一緒してくださったりした。
帰り道は保育園の運動場へ。滑り台をしたり、ブランコに乗ったり、休日の保育園を満喫。
夕方、河野先生の所へお邪魔する。赤ちゃんに今日こそガラガラをプレゼントすると言う観音の希望で、水月ちゃんのお顔を拝見する為。
丁度、お姉ちゃん達がベビーカーで、水月ちゃんをお散歩に連れ出したところで、暫く外を探して歩く。観音、初めて赤ちゃんを抱っこ?!膝に乗せて頂いた。あまり、嬉しそうでなかったと思ったが、帰り道から「赤ちゃん、抱っこ!水月ちゃん抱っこした。観音、水月ちゃん抱っこした。」と自分で語っていた。良かったね。
9月30日 晴れ。気温が上がる。
昨日の喜びが覚めないうちに、今度は河野先生とお嬢様方がお訪ね下さった。お姉ちゃんお2人のプレゼントと、お世話の大サービスに、目が丸くなって時折止まってしまっている観音。水月赤ちゃんの事も気に成るのだが、どう接して良いのか判らない様子。
5歳に成られる雪帆お姉ちゃんが、カメラに興味を持って撮影して、カメラマンを申し出て下さった。観音は終始緊張気味。
遊んで下さっている間に、薫が「メダカを飼いませんか?」と子メダカの里親の打診。即座に、「飼いたい!!」と元気なお返事を2つ頂いたようだ。子メダカ15匹が、餌と水草と共に瓶に入って登場。
何と、8歳に成られる夏海お姉ちゃんは、だんご虫の飼育にも挑戦する程の生き物好き。先般は、コウモリを捕獲して帰り、飼いたいと申し出たが「餌に困る」と却下されて、解き放したのだとおっしゃる。なるほど、となればメダカなどお安い御用と言うわけだね。先生の方は、「帰ったら2つの瓶に分けて、しっかり瓶に名前を書きましょう。お世話をどっちがするかで大変な騒動になりそうだから、お互いに自分のをお世話する事にしましょう。」とおっしゃる。「しまった。15匹入れちゃた。」と薫。全部の数よりも白いメダカの大きさと数の方がお嬢様方には問題みたいだよ。「あー、そこまで考えていなかったわ。」と渋い顔をする薫。