2月19日 雨
台所で観音の特製パンケーキを囲んでいると、屋根の上を走る音がする。「猫だ!」と最近出没する春のサカリの猫だと思いきや、じっと見つめる観音と薫の前に屋根から、裏の山側へ飛び降りて来たのは、何と狐のような茶色いフサフサの尻尾を振った細長い身体に、黒い鼻の生き物。薫が「テンだ!」と戸口へ駆け寄る。観音も椅子の上に立ち上がって、目を丸くしている。あっという間の出来事で、幽雪は見損ねてしまったが、直ぐに観音が持ち出した動物の資料から、危急種の「ニホンテン」だろうと判断。
畑に埋めた生ゴミを荒らしに来たりしていたのもこれではないかと思われる。イタチやテンは肉食だと思っていたが、資料によるとニホンテンは雑食だと言うのだ。鳥の為にと観音がプレゼントした林檎が最初は外側を少しづつ啄ばんで食べた後があったのに、翌朝には丸ごと消えていた。早朝に大型の鳥が来たものと思っていたが案外それもテンだったのかもしれない。
実は、もっと驚くのは、屋根裏に生き物の気配がして居た。それがとてもすばしっこく、猫より身軽なようで、正体不明で、薫は観音に、「座敷童が住んでるんじゃないかなぁ」などと言っていた。だが、どうやらこの危急種が、我々と同居しているようだ。

2月26日 晴れ一時雪
昨年の秋の台風時期に、雨漏りの為に崩落した壁を眺めていると、その穴に生き物が顔を出した。薄暗くて、ハッキリ見えないのだが、猫くらいの頭をした、黄土色っぽい色の顔。観音と薫に、その話をすると、「きっとテンね。」「やっぱり、住んでるんだ!」と喜んでいる。
「目が黒かったでしょ?」「こんな色でしょ?」と観音に問い詰められたが、「薄暗くて、ハッキリ見えなかった」と言うと残念がっていた。天候が悪いと、夜間に限らず活動するのかも知れない。相変わらず毎日、屋根裏での移動の音がするので、安住しているのだろう。
先月の初観音会にいらして下さって以来で、澤田さんからご連絡をいただく、来月広島市内で行われる物産展に出展されるとの事。早速、情報を追加し載せる。