3月1日 晴れ
朝、井戸水が出ない。どうやら、夜中に猪が裏庭から浸入し洗濯場への配管を壊したらしい。辺りの土が掘り返されている。その為に井戸水が延々汲み上げられて空に成ってしまったようだ。配管はジョイント部分が割れ破壊されている。が、破損を免れた部分が接続に足りるかどうか不明。必要と思われる材料を求めてくるものの、コンクリート張りの部分を剥がしてやり直す事に成るかも知れない。
直しても、再び壊されてはたまらないので、猪対策を先に講じることにした。猪用の電気柵に使う電線を、杭に巻き付けて、電気柵を張ったように見せかける。痛い思いをしたことのある猪は、この電線を見ると近づかない知恵があると言う事なので、その裏をかくのが良かろうと言う事になったのだ。
配管の件は、方丈が明日、ベテランの知恵を授けて下さるとの事になった。
3月2日 曇り
ここのところ、又、壁土が落ちてきていたのだが、今朝は丁度落ちる音を耳にして、見に行った。薫も居合わせて、壁の穴を見つめると、テンが顔を出して、しげしげとこちらを眺める。薫が「おはよう!」と声を掛けると、ちょっと首を傾げてみて、向きを変えたが、又、振り返って見下ろしている。そして、くるりと尻尾を見せて奥へ去って行った。寝室の近くの天井裏まで足音がする様に成っているし、完全に屋根裏を我が家と決めてしまったようだ。
配管の破損部分、薬師堂の弘法大師頭上の天上の崩落部分、猪の通路等を見に方丈がお見えくださる。配管は、僅かにコンクリート部分を削ったが、折れた管を平に切り落とし、ジョイントを繋ぎ直して見ることにする。午後にテストして水漏れ無く、無事終了。
一応の配管修理作業後にお茶を頂きながら、テンの話になる。「テンが居れば、ねずみは住まない。害は無し!」と言う事で、方丈もテンの同居を許可して下さった。これにてテンも正式に海蔵寺の住人(いや、住獣)となる。