7月3日 晴れ。
天候も良いので、夕方 黒滝山の桜堂まで上がって見ることにした。
忠海港へフェリー入港上がると丁度、フェリーが入港する所だった。島の重なる瀬戸内海・黒滝山桜堂より今日の瀬戸内海は実に見通しが利く。遠くの島々が幾重にも重なって見えている。
蚊が出るだろうと、薫が蚊取り線香を2組用意して行った。歩いて上っている内は良かったのだが、止まるとやはり寄って来た。蚊取り線香の煙をかわして、足元からしつこく攻撃をして来た。
多々良大橋と石鎚連山(橋の支柱より上の薄い山並み)上って暫くすると、柴犬と思しき犬を連れて散歩にいらした方があり、「石鎚山がどれだか分かりますか?」とおっしゃる。多々良大橋の向こうに見える山並みを説明してくださった。連れていらした「安芸の歌姫号」と言う名の犬に薫が座り込んで話し掛けている。結局、観音のおやつにと持って上がっていたむしパンを飼い主の許可を得て与えていた。観音もごく近距離で「安芸の歌姫号」に恐る恐るではあるが手を伸ばす。犬が見上げると、観音は手を引っ込めた。整備された黒滝山登山道を下る飼い主が「大丈夫だよ。この犬は吠える事すらせんので、番犬には全くなりませんよ。」とおっしゃったが、観音にはやはり未知の存在らしい。犬と顔を付き合わせて鼻を撫でている薫を見ながら、観音は警戒心を持っていてくれて良かったと内心ホッとした。
日差しが傾いて来たので帰山。日が長く成ったものだ、7時が来ようとしていた。

千津子さんと観音7月17日 曇り一時暴風雨
千津子さんが久し振りにお訪ねくださった。千津子さんが到着され、先ず、観音に声を掛けて下さった。千津子さんに話し掛ける観音久し振りだったので、観音は対面して直ぐに泣き出すかと思っていたが、意外にも真剣な眼差しで見つめている。暫く、考えた後は、思い出したか安心したようだ。千津子さんが作ってお持ち下った海苔巻や散らし寿司を昼食に皆で頂いて、その午後を過ごした。後半、観音はしきりに千津子さんと会話しようとしていた。観音を注意深く見守りながら、彼女のペースで相手をしてくれる千津子さんに、観音はご機嫌で アッと言う間に時が過ぎた。

観音、波に脚入れる7月26日晴れ、猛暑。
観音に汗疹らしきものが出て来たので海に連れて行く事にした。昼間は忙しいし、このところの猛暑は、観音が炎天下で過ごせる状況では無い。夕方、日が落ちてから、町内の砂浜へ出かけた。案の定で、浜は貸切である。観音の汗疹を海に浸す観音を抱いて海に入る薫自分はちょっと足元だけ入って、観音だけを海に入れるつもりで行った薫だが、観音は不安そうで入りたがらない。波が来るとサッと脚を上げる。全く慣れて来ないので、結局 薫は抱いてザブザブと海へ入り、2人で海水浴と成った。2、3度首まで浸かると、やや慣れたのか、観音もこちらを向いて手を出したりする余裕が出て来たようだ。

庭木の剪定をしてくださる法水居士8月5日 快晴。暑い!
7月下旬から連日猛暑の中、淡心さん斉藤さんが午後の2、3時間を山内の作務をお手伝いに来て下さっていました。今日は、方丈始め数名が、雲一つ無い青空と猛烈な太陽光の中、午前中から庭木の剪定等にお見え下さった。軽快なハサミの音が山内に響き渡る。
「青空とのコントラストが余りにも素敵だったから」と、観音をおんぶして作業をしていた薫は、思わずカメラを取りに行って写してしまったそうだ。
猛暑の中、本当にお疲れ様でした。

8月11日 晴れ。
海蔵寺山門大施餓鬼。今年は暑さの為に外出を控えられたのか高齢者の参加が随分少なかった。
暑さの続く中、この日に向けて、淡心さん、斎藤さんを始めとし、少林窟道場参禅者の方々が山内の整備、清掃を連日 行って下さった。深謝である。
当日も観音を連れて充分に動けない薫に代わり、観硯さんが、御寺院様方の接待等を仕切って下さる。
助力を得て、何とか年間の一大行事を終える事が出来たと言うのが現状であった。感謝の一言である。合掌。

8月16日 晴れ。
今日でお盆の一連の行事が終了した。後は、片付けを残すのみとなる。
最終日で気が緩んだか 薫は観音をおぶって物干し場で妙な具合に足首を捻挫。何とかこける事は避けられたようだが、かなり痛むらしい。
観音は忙しい間中、おぶられていたので、急におんぶも抱っこもしてくれない母に、とても不満な様子で、あれこれ騒ぎを起こしている。

8月19日 晴れ時々曇り。風強し。
秋の風になった感じだ。
午後、皆天居士お訪ね下さる。ご長男、侃才くんは闊達にご成長との事。お写真を拝見した。
観音、筋肉が付き始めているようで、重みを感じる。

8月29日 晴れ。
一昨日より幽雪の母が訪ねて来てくれている。今日は、3時半過ぎから大久野島へ出かける事にした。本当は2時半過ぎの船に間に合わそうかと昼食後に話したのだが、慌てるのは止めようと一便遅くしたのだ。
今日は乳母車も船に乗せてもらう事にした。「ベビーカーは無料」との事だったが、乗船すると「四つ輪は120円要るんじゃがねぇ。」との事で薫は慌てたようだ。切符を買いに戻る時間が無く困った様子の薫に、船長さんが現金で受け取ってくれたそうだ。大久野島へ向かう船の客室今回は、乳母車と過ごす薫を残して、前方の景色の見える客室で島までの短い船旅。
到着後は乳母車を押して歩くつもりで居たらシャトルバスの運転手さんが、乳母車ごと乗って行く様にと勧めて搬入を手伝って下さった。ロッジ前の広場は前回と打って変わって閑散としている。ウサギ達は・・・運転手さんに尋ねると、「暑いので昼間は日陰で寝て、夕方に成ると出てくるよ。」との事。残念、ウサギを見る為に来たのに・・・・。
探すと木陰には1、2匹ずつ寝ていた。今回は餌を持って来なかったので、全く相手にされない。ふと見ると、浴衣姿の一行にウサギが数匹集まっている。どうやら、あちらは餌を持っている様子だ。薫が目を丸くしながら、近づいて来て「あのウサギ達、カリントウを食べてる!」と驚いていた。そこで試しに、おやつにと持参したミニ・ドーナツを取り出すと、ウサギの方から鼻をヒクヒクさせて近くに来るではないか。鹿せんべいならぬ、ドーナツで木陰から1、2匹のウサギをおびき出した。しかし、直ぐに食欲を無くして又、木陰へと入り込んだ。諦めて、散策でもしよう。
体験工房での薫と観音竹紙の葉書を作る幽雪と母少し先にある体験工房に母を連れ込んで、竹紙の葉書を漉くことにした。田崎さんの竹紙を知っているだけに、味も素っ気も無い物だが、兎に角漉く。その後、体験工房の中を散策して暫く過ごした。観音が詰まらないの限界に達したようなので、薫が係のアルバイト生と交渉し、漉いた葉書が乾くのを待たずに外へ出た。乳母車が風を切って進み始めると観音の機嫌は快復。最終便の出る港に近い広場まで来ると、そこは山裾で陰に成ってウサギもボチボチ活動を始めていた。先ほどの経験から薫はおやつを取り出している。見て!見て!ウサギを指差す観音観音は大喜びで、ウサギのいる方を指差して声を上げ「おばあ様、父上、見て!見て!」と言いたげだ。ドーナツを持ってウサギを呼ぶ薫と観音薫が誘き寄せたウサギに、観音がおやつを乳母車から投げ与えて、上から観察し、仕切りに声を上げている。何時もなら、とっくにへたり込む筈なのに、ウサギ見たさに観音は乳母車の縁に噛り付いてずっと立っていた。帰宅までの非常食に1欠片だけ薫が隠し持っていたが、後は観音が全部ウサギに与えてしまい、本人は抹茶水でしのいでいた。
最終 6時20分発の帰りの船は前回の終便と同じ船、同じ船長さんだった。今日のバスの運転手さんも同じ船で島を立つ様だ。そのお2人が、にこやかに迎えて、乳母車の積み込みをお手伝いくださった。真っ白な波を立てて、船は忠海港へと向かった。観音は船上で薫の取り出した1欠片のおやつを食べる。乳母車と共に帰山したのは7時であった。それから夕食までの間も、観音は良く耐えた。が、お腹が膨らむと急に眠気に襲われたようで、床に行くやいなや寝てしまった。
観音、ウサギの島は楽しかったかい。又、見に行こうか。

9月2日 曇り。夜になって雨。
ホームページのカウンターが5555を記録。大喜びの薫である。
夏場は時間が取れず更新していなかったのだが、急いで8月分を更新。何度もご覧下さった皆さまにはお詫び申し上げます。お許しください。

9月3日 雨のち曇り時々晴れ。
朝は雨降りのだったので、観音は 薫について出る事が出来ずに、華材を集めて庭に出ている薫を 本堂正面から羨ましそうに眺めていた。最初は、ガラス越しに声を掛けていたが、薫にはその声は届かない。薫が ふとこちらを向いて観音に 手を振ったのをきっかけに 観音はより一層 薫の気を惹こうと動作を大きくしたり、膝立ちで伸び上がったりしていた。薫が華材を抱えて、水屋へ向かって行き始めると、不意に観音がサッシのガラス戸を叩いた。バン、バン、バン!音を立てて 薫の注意を惹こうとしたのだ。それは見事に成功し、薫は振り返った。観音の工夫に応えるように、薫は庭先で新しい目を出したアスパラガスを一本折って 観音へのプレゼントにした。

9月7日 雨のち曇り。
空が明るいのに、時折 強烈な降り方をした。雨量によって物干し場は 雨漏りするので、薫は今日の午前中も ずっと洗濯物の心配に明け暮れる。
雨降りで室内で過ごす観音。外が気に成る。観音の髪が伸びたので 2、3日前に薫が前髪だけ散髪し、後は2箇所に束ねるようにした。髪を括られる事に抵抗するかと思ったが、観音用にとゴムを見せると、意外にも 自分から頭に持って行き当てている。「括ろうか?」と薫が言うと、サッとゴムを渡した。括られても、外そうとはせず、何処かで取れてしまった事に気が付くと ゴムを持って来て頭に当ててから 差し出す。括って貰いたいのだ。実は、薫が毎朝、髪を束ねるのを見続けて、時折ゴムを観音が先に取って、薫に手渡すなどして来た。それが起因しているのだろう。自分も同じように出来る事が嬉しいようだ。
サッシの開け閉めや、急須の蓋の開け閉め、飯台を台拭きで拭く事や ゴミをゴミ箱に入れる事など、我々のやっている事を観察し 挑戦している。これらは出来るように成って来たが、その分 注意が必要だ。と、同時に 寛容にも成らねばならんようだ。1日中、ハプニングの連続である。

大久野島の上に雲が出、送電塔を包む9月15日 雨のち晴れ時々曇り。
天気予報は曇り時々晴れだったのに、午前中は結構な勢いで降った。雨が上がるとさっと日が出て来た。雨上がりの澄んだ空気に 強烈な光線が降り注ぐと、真っ白な雲が大久野島の送電塔を包む珍しい光景が広がった。

9月16日 晴れ。
午後大徹師がお寄り下さる。最近、観音は足腰を鍛えているかのように、物に捉って立ったり座ったりを繰り返している。危なっかしい観音の様子に、大徹師も気が気では無い。一同ハラハラしながらも、彼女の行動を見守った。こうして、自由と注意を与えられると一段と成長した行動を取るようになった。

9月17日 晴れ。
昨日、大徹師がお見えに成った折に、お茶請けに頂いた大き目のブドウが1つ残っていた。それを見つけて、観音はテーブルの縁でコンコンと叩いては様子を見ている。何をしているのだろうか?何度か繰り返しながら、叩いては湯飲みやコップの上に持って来ている。そうか、卵のつもりなのか。しかし、誰が教えたのだろうか 食卓の縁で卵など割ったことは無いのに。
薫は時々、調理台の縁で卵を割って調理している。多分、観音にとって手の中に丁度収まる卵形のブドウは、丸で母の卵そのものなのだろう。割って中身を器に受けるようにして見せている。なるほど卵が食べたいのか!既に卵形と言う区分が観音の脳内にもしっかりと出来上がっていると言う事か。

9月18日 晴れ。
午前中、山瀬氏がお訪ねくださった。薫に原発についての本を2冊 届けて下さる。来客と言う刺激が良いのか、観音は今日初めて薬師堂への高い段差を自力で這い上がって 薬師堂で作業中の薫の元へ手を貸しに行く。途中で、振り返り山瀬氏の様子を確めている辺り やはり充分に意識しているようだ。
最近、時折 観音が四肢を伸ばして四つん這いに成る。移動の際は、膝をついたり、腹をつけたりしているのだが、止まって四肢を伸ばす。今日は一段と盛んである。
夕方、テーブルの周りを伝い歩きで回り始めた。今までと様子が違う。兎に角、回って歩きたいのだ。横へ横へと手をずらしながら、ヨタヨタ進んでいる。1周して、幽雪の膝で少し休む。と直ぐに又、嬉々として回り始める。とうとう、3周半回った。
その後、観音は薫に甘えて 抱いて跳ねてもらったりしていたが、暫くしておろされると、立ち上がろうとして 何度もヘナヘナとよろけては へたり込んでいた。余程 疲れたらしい。

9月29日 ほぼ晴れ。
閑山さんが来月行われる勝運寺様の晋山式にて首座を勤める為に帰山された。1年2ヶ月ぶり位でおじ上と再会した観音。忘れていて泣かれるだろうと覚悟はしていた様子のおじ上だが、決して彼女のペースを乱さない事を心がけてくれているのが 見ていても良く分かる。観音は、不安な様子を多少見せたものの泣く事は無かった。夕刻には、2人だけで楽器演奏を楽しんだりする程に打ち解けていた。閑山さんが観音のお土産に、灯ってハミングするアスパラガスと歌う恐竜の縫いぐるみを持ち帰って下さった。恐れるかと思ったが、おじ上の「怖くなんか無いよ!」が良かったのか、直ぐに仲良くなった。おじ上と共に何度も、何度も繰り返し歌っている。